第8話 洗礼

 とうとう来ちゃいました、就職の面接が うまい! 座布団1枚!


 確かに職業を授かる日ですから、そう言えなくもないですが、こんな冗談でも言っていないとプレッシャーに押しつぶされそうになります。


 5歳児の心臓は小さいし毛は生えていないのです。


 一方、両親は朝から張り切っています。1週間前から店休日の張り紙をして準備してましたから。


 どんな職業でも良い元気に逞しく育って欲しいというのがうちの両親だけど、俺としては店が継ぎ易い職業が良いと思っている。


 教会は以前母ちゃんが教えてくれたから場所は分かっている。


 村の中心からそんなに離れていない、歩いても15分ぐらいで着く、何で15分って解るかって?


 それはね水時計を俺が作ったから、この世界にも竹があるんですよ、それの節を抜いて長い筒を作って、教会で2時間ごとになる鐘の音3回分で水が殆どなくなる水時計を父ちゃんの協力のもと作りました。


 水は筒一杯に入れておいて、筒の一番下に小さな穴を空けといて栓をしておきます。


 鐘がなって暫くしてから、栓を抜き水を流し始めます、次の鐘が鳴った時に水面の位置に印を付けます。


 そして次の鐘が鳴ったらまた水面に印を付けます、初めの印と次の印までが2時間という事に成ります。


 その中間が1時間、そこにも印を付けます、1時間の長さを計ります。


 俺は数学者でも物理学者でも無いので計算でどうにかなんて出来ませんから、仮定をたてました。


 1時間が60分だという、1時間の長さが丁度60分割できればそのひとメモリが1分と言う事に成ります。


 良く考えてください、何でも基本となるものは人が作っているんですよ。


 この長さが1mこれを1000分割したの1mmと言う様にね。


 だからこの世界の時間の基準に成る物が24時間であり1時間なら地球の法則を当てはめるだけで良いんですよ。


 地球の24時間、別の世界の24時間、別の世界の24時間を地球の時間で計ったら36時間だった。これで解るでしょ、同じ1分でも実際の長さは違うと言う事です。


 その世界で生きるならその世界の1分で良い訳です。


 言いたいのはこんなことを考えて1分を割り出し、教会まで歩いて戻ってくるまでの時間が約30だったので、片道なら約15分と言う事です。


 誤差を減らすために筒を3本も父ちゃんに作って貰った。友達の分と言い訳して。


 御免、父ちゃん嘘ついて……。


 まぁやってる間は訳の分からん遊びをする変な子と見られていましたが。


 将来この基準を使って分まで解る時計を作ってやる。 みてろ! V


 思考を追いやってメンタル維持してたけど、教会に着いちゃった。 バクバク。


 教会に入ると父ちゃんが神父さんを呼びに行き、俺と母ちゃんは祭壇の近くで待つことに。


 暫くすると父ちゃんが神父さんと戻ってきました。


「こちらがご子息のマーク君ですね。5歳の洗礼おめでとうございます」


 そう言って神父さんが祭壇の前に立ち、俺に神像に向かって膝をついて胸の前で手を握り、目をつぶって神様にお祈りをするように教えてくれました。


 当然母ちゃんが見本を見せて教えてくれます。俺は意味を理解してるけど普通の5歳児では難しいですからね。


 俺の体勢が出来たら、神父さんが何かの呪文のようなものをつぶやいてから


「神の子、マークが5歳に成りましたので祝福を授けたまえ」


 そう言うと何か体が一瞬温かくなったような気がしましたが、直ぐに治まりました。


 暫くおいてから神父さんが


「無事洗礼は終わりました。おめでとうございます」


 と言われたので、父ちゃんが寄進をして教会を後にしました。


 あれ? ステータスとか見ないの?


 神父さんが職業とか言わないの?


 何だよこの拍子抜け、俺の緊張を返せ!


 父ちゃん達も何も聞きません? 普通気になるよね? 何も聞かれないから不思議そうな顔をしてたら、母ちゃんが職業は誰にも言わなくていいのよと教えてくれました。


 職業を公表するのは自由だそうです。でも公表した方が仕事上では信用が違うので公表する人も多くいるみたいです。


 俺の場合は自分が言いたければ言えば良いというスタンスみたいですね。


 先ずは確認してからだな、ステータスは他人には見えませんから頭の中でステータスという。


 名前 マーク 

 種族 ドワーフ

 状態 良好

 職業 マイスター

 レベル2

 HP 60/60  

 MP 2165/2165 

 スキル (言語理解) 生活魔法 鑑定(解析) (アイテムボックス)     

 魔法 火魔法 (全)

(固有スキル) (魔技)

 称号  (技巧神の加護)


 マイスター? ドイツ語? 日本語訳だと巨匠とか大家とかだったよな。日本でいうと名工の人に与える称号にもあったな。


 この世界にこんな職業あるの? どうしよう? これは言うべきか言わざるべきか? それが問題だ! 誰のセリフ……。


 それに魔法だよ、洗礼では普通授からないでしょ?


 そういう事も有るの? そしてまた(全)ってなによ! 神様面白がっていない?


 そうか、魔法についてはロックとミーシャのステータス見れば分かるな。洗礼前にはなかったから、今度会った時に確認すれば、洗礼で授かるのかそうで無いかは解るだろう。


 兎に角一つずつ確認だ。先ずはマイスター。


 全ての生産職に卓越した技術を発揮する。

 

(う! うそ~~~ん 。ちょ! ちょっとまて~~~)


 一つの職業に精通するんじゃなくて生産職全職種??? 鍛冶、彫金、木工、錬金、裁縫、革加工……後何があったけ? 料理は生産?


 これもし両親に話すにしてもどう説明しよう? 何でも屋? 何でも作れるけど卓越したを言わなければ良いか?


 そう言えば鑑定はカッコが無いから見られてもいいと言う事だけど、それって持ってる人がいると言う事の証明なんだよね。


 それって俺のステータスが見られると言う事が確定してるんだよ。そうするとアイテムボックスは誰も持っていない事も確定しちゃう。 オウNO~



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この作品をお読みの読者の皆様、参考イメージとしてドワーフ画像を近況ノートに掲載しております。


https://kakuyomu.jp/users/musasi926/news/16818093079855434998

「創作論にも書きましたが、☆の重要性が良く分かる。」の添付画像です。

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