第9話 嘘つきで御免

 俺は嘘つきに成る事を決めました。マイスターは多分この世界で初めての職業だから公表できないので、俺は詐欺師に成る!


 そう言う訳で、俺の職業は鍛冶という事にします。店を継ぐ気なんですから問題ありません。


 他も作れるというだけですからこれで大丈夫? 大丈夫だよね?


 魔法に関しては友人のステータスで判明しました。洗礼では授かりません。


 だから公表しません。でもね、これって自分の首絞めてるんだよ。全魔法使えるのに練習すら人目を避けないといけないんですよ。


 これってマジきついよ。俺の行動範囲が広がれば少しは練習も出来るでしょうが、現状当分無理! どうすんべかな~~~ なに弁? 知らん! 聞くな!  誰に?


 ラノベとかなら読み書き計算を教会に習いに行くという設定で、さぼって魔法の練習とかのパターンもあるんだろうが、家の両親、読み書き計算出来るからそのパターンはない。


 洗礼も終わったから、少しは外で遊べるかな? それでも村の外には出れないんだよな、魔物がいるから村全体を木材で囲ってるし当然出入りは門を通るから、5歳児1人では無理。


 どうするにしても、先ずは1人で遊びに出れるようにすることが先決だな。これが出来ないと何をどうするにしても先に進まない。


「とー、かー、ぼくのしょくぎょうかじだよ」

 夕食の時に両親に嘘をつきました。 ごめんなさい。


「そうか、そうか」


「そうなのね」


 あれ? 二人とも鍛冶の仕事頑張れとも言わないな? そうか、3歳の収穫祭の時母ちゃんが言ってたな、どんな職業を授かっても好きに生きなさいと。


 まさか俺が覚えてると思っていないようだけど、それは貫くんだ家の両親。


「とー かじおしえてね」


「おう!」


 よし!次は遊びに出れるようにしないと


「こんど、ろっくやみーしゃのおうちあそびにいっていい」


「今度聞いてみましょうか、でも私が用事がないのよね」


 あぁこれは母ちゃんが用事のついでにのパターンか、それじゃ駄目なんだよ一人で行けないと。


「ひとりでいけるよ」


「でもね~マークはまだ5歳だからね、エンターはどう思う?」


「そうだな、ちょっと早いかもしれないが、マークはしっかりしてるから、大丈夫じゃないか」


 父ちゃんナイス! 後は母ちゃんがOKすれば希望が出てくる。


「そうね、お友達の家に行くだけだからマークなら大丈夫かな?」


 やったね、外に一人で出られることは何とかなったけど、後はどうやってアリバイを作るかだな。


 それは暫く様子を見よう、いきなり別行動は出来ないから、何度か遊びに行くうちに良い方法が見つかるだろう。


 しかし何とも言えない気分だ。転生してから色々隠し事はしてるし、小さな嘘はついてきたけど、今回の嘘ほど罪悪感が強い物は無い。


 だからと言って全てを話す訳にはいかない。多分家の両親は全て正直に話しても何も言わないと思う。


 言わないどころか喜んでくれるかも知れない。でもやっぱり言えない。一番は俺が怖いんだ、勇気がないんだよ。 ヘタレですみません。


 1人で出かける事は出来るようになったけど、そう頻繁には無理だろうから出掛けなくても出来る事を考えないとね。


 結論! チート持ち何だから、それらしく行こうと思います。


 俺の部屋の下に地下室を作ろうと思います。


 俺が3歳に成った頃、両親とは部屋が別に成りました。そう俺の部屋が出来たのです。


 理由は……うちの両親はまだ若いんだ……さっしろ!


 俺の部屋って増築して作ったから両親の部屋から離れているんです。だからこそこの計画を思いつきました。


 床を剥す時に少し音は出るかもしれませんが、穴を掘るのは魔法ですから、最初だけ気を付ければ無問題もうまんたい


 実行した結果、思った通り無問題でしたね、床を剥し終えてから、穴を始めは魔法の練習も兼ねて少しづつ掘って行き段々大きく深くして行きました。


 土魔法のホールって掘ってもいるし固めてもいるんです。だから殆ど土が出ない。


 ただ規模が大きくなると、土があまりだして残ってしまうので、残った土はアイテムボックスに収納して片づけました。


 穴は真っすぐ下ではなく、斜めに掘って家から外れた所に空間を作る事にします。


 5歳児ですからね、竪穴だとどうやって降りるんだという問題がある訳ですよ。ですから斜めに掘って階段を作ろうという計画です。


 穴を斜めに掘り始めて俺気づいちゃいました。何を? そう穴が掘れるならトンネル掘れば村の外に出れるじゃんとね……。俺ってバカなんですかね?


 トンネル掘ればいいと言っても普通なら大変な作業ですが、家は大きな音が出る鍛冶屋だから家の店がある場所って村の外れなんですよ。まして村の囲いから直ぐ傍、囲いから30mぐらいですね。


 その事が判明してからも計画の変更はなし、地下室は計画通り作ります。


 何故かというと、何か作りたいと思うたびに村の外で作る訳にもいかないので地下室は必須なのです。


 ましてこれは男のロマンなのです。地下室ってかっこいいじゃないですか。


 嘘をついて罪悪感がとか言ってた自分が恥ずかしい。口も乾かぬうちに秘密がまた増えてしまいました。


 これからもこんなことの繰り返しなんだろうな。果たして俺の心は持つのだろうか? はぁしんど……。


 地下室&トンネル計画を進攻中に友達の家に2度ほど遊びに行きましたが、どこの家も5歳児が自由に出来ることも無く、抜け出すという事は諦めました。


 使えるとしたら、遊びに行く振りというアリバイぐらいだと諦め、トンネル作りに集中します。


 俺って本当にバカ、ドジ、マヌケ、だった。


 俺の家は確かに囲いから近いけどトンネルの出口は何処にすると考えたら、囲いのすぐ傍なんて人から見つけてくださいと言ってるような物。


 では人目につかないところはと言えば何処となれば当然森なんですが、囲いから森までは結構あるんです。


 一度囲いの隙間から外を覗いた時に確認した距離は推定500m以上、後から聞いた話ではこの辺りの森にはそれほど強い魔物がいないのでこの距離でも大丈夫なだけで他の場所だともっと離れているそうです。


 ということでトンネル計画は現在も進行中、いつ完成するのやら……。

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