ある農家。一日の惨劇

久遠 れんり

その日は午後から雨の予報

 朝一から俺は焦っていた。


 少ない休日。

 だが朝から彼女の機嫌は悪く。

 文句ばかり。


 こっちがなだめても、返事は曖昧。

「なあ頼むよ」

 俺は焦り、声をかける。

「午後からは雨の予報なんだ。頼むよ」


 だが、彼女はだんまりだ。

 すべて磨き上げ、ピカピカ。

 だが、態度は何処吹く風。


 おもむろにすべてを脱がし、無理矢理差し込み。目一杯放出。

 だが機嫌は直らない。

「なんなんだよ」

 だけど、なにも語らず機嫌だけが悪い。


「どうしろって言うんだよ」

 一度突き放し、じっと見る。


 でも、何も言ってくれない。


 だが、機嫌を直して貰わなければ、俺が困る。


 新しいマスクをあてがい。

 機嫌をとる。


 ギャップを測り、そっと元に戻す。



 今朝与えた食事。

 あれが口に合わなかったのか。

 ふと思いつく。


 新しく用意をして、与える。


 すると、二度三度首を振りながら。


 やがて、機嫌良くなる。


「ああ燃料だ。燃料の缶を間違えたのか」

 そう。彼女の名前は、マ○タのMEM-2600U。


 エンジン草刈り機。


 今朝入れた燃料は、廃棄用燃料だったらしい。

 今朝からの、機嫌悪さはどこかへ行ってしまった。

 さあ草を刈らなければ、昼からは雨だ。


 ゴールデンウィークの一日は、そうして過ぎていった。


 それから、二週間。

「草を刈らなきゃ。今日の彼女。機嫌はどうだろう?」




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 ええ。単なる。

 兼業農家の愚痴です。


 雨が降ると、奴らがはびこるんです。

 機械ものは使わないと機嫌が悪いし。ねえ。

 おかげで、30分あれば、オーバホールができようになりました。


 真面目に読んだ方、すみません。

 機械を擬人化すると、おもしろいですね。

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