希望

@kaluako

01

 

 希望

 

「誰もが自分の視野の限界を世界の視野の限界だと思っている。」・ショーペンハウアー

 

 この世の中は平等と言うにはあまりにも惨い。

 

なんで私なんだ。なんであいつは。何が違う。

 

 なぜ自分がこんな目に合わなければならないのか。到底努力では賄えるものではない。

なのにあいつは、皆は、なぜ楽しそうに笑って生きているのだろう。

 

人は簡単に言う。

 

「それに打ち勝つ力が、覚悟が必要だ」


 彼らは私の何を知っているのだろう。

 そんなへらへら楽しそうに生きている人間に何がわかる。


… 私も同じことをやっていた。


 彼らの苦しみも、生活も、心の傷も何も知らないで決めつけていた。


 自分の視野の狭さを恥じた。


 人を責めることができなくなり、その苦しさや痛みを溜めたどろどろとした感情を自分にぶつけるしか方法はなくなった。

 苦しい、辛い。逃げたかった。

 

 きっとこれから先の人生、生きている限りこれらは呪いのように膨れて身体を、心を削り落としていく。

 治る間もなく新しい苦しみに責め苦のだろう。努力なんかじゃ到底間に合わない。

 

 腐っている。本当に。

 

 それでも藻掻いた先にきっと希望がある。


 その努力は、経験は、死ぬには惜しいかもしれない。

その傷は決して汚いものではない。

 

 生きて居てほしいとは言えない。それは自分で決めるべきだ。

 ただ、苦しみの中に居てそれしか選択肢がない中で自決を選択してしまうのは、少し早いのかもしれない。

 希望を見つけてみてから、逃げられる選択肢が増えてから、決めてみてほしい。

 その考えも、感情も全部自分のものだから。

 

 私はこの目で、いろいろなものが見たい。

 この耳で、たくさんの声を聴きたい。

この手で、貴方に触れたい。

 

 

「世界は辛いことで一杯だけれども、それに打ち勝つことでもあふれている。」

           ・ヘレン・ケラー 


貴方は強く、美しい。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

希望 @kaluako

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る