第119話 信頼
123
王国の斥候は自分が聞き知ったすべてを王を始めとする会議の出席者たちに説明した。
王国が、ただの通訳と認識していた『
その際、オークキングを一撃で倒したことから『オークキングスレイヤー』の称号で呼ばれて大幹部らに信頼されている。しかも大幹部の一人の『内縁の夫』であるらしい。
「諜報部は拘束中にその探索者の素性を調べなかったのか? オークキングを一撃で倒せる探索者など何人もおらんはずだ」
王は不満げにこの場にいる諜報部の責任者に問いただした。
探索者は内政問題と国家紛争への非関与が原則だが報酬に釣られて荷担する可能性は否定できない。貴族によるクーデターに協力されるなどの危険もあり国内にいる主要な探索者の動向と交友関係は密かに諜報部の調査対象となっている。探索者ギルドとの定期打合せも調査の一環だ。
前線司令官である師団長は戦時下において、さすがに駐屯地を離れるわけにはいかなかったので、この場には斥候の所属先である北部方面師団の副団長ハーマインと諜報部の士官が出席していた。
士官が答えた。
「複数のギルド職員と探索者に探りをいれたところ誰もが万年Fランク探索者との認識でした。
バッシュに対する士官の認識は間違いではない。バッシュ自身、士官と同じように自分を認識している。
但し、ただの通訳の扱いにしては、随分『
『
『
通訳とはいえ一度は協力者であったバッシュを『
士官は、そのような考えで自分を納得させていた。さもないとただのFランク探索者が『
アルティア神聖国帰りの斥候が士官に助け舟を出した。
「本人がFランク探索者であるのは間違いありません。オークキングを倒せたのは不意打ちがうまく決まったからで、内縁の夫というのは単に幹部に
王は困惑した顔を浮かべた。
その探索者が『オークキングスレイヤー』で『幹部の内縁の夫』だから『
王は斥候に問いかけた。
「お主は『
『ああ、そういうふうにもとれるのか』と斥候は思い至った。
実は『
「我々が国都に辿り着く以前に『
「その探索者が『
「三年前から同じパーティーだったという探索者とギルド職員に面通しをして本人と確認しています」
「ますますわからんな」と王。
「では、なぜそんな何でもない探索者が『
「彼がオークキングスレイヤーであろうとなかろうと間違いないのは仲間を助けるためならば単身でオークの群れの中に降り立つもいとわぬ人物であることです。助けられた者からすれば信頼する理由は十分でしょう」
「自分で現場を見たわけではないだろう。お主から見たその探索者は信頼に足るのか?」
「探索者としての力量は知りませんが自分の戦友です。同じ戦場で肩を並べて戦いました。安心して背中を預けられます。もっともすぐ人の前に出て盾になりたがる性分は問題ですが。いずれにしても彼無くして今回の成果には至りませんでした」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます