第26話 オーク
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もし、鳥の目線で上空から『
オークの集落は、その凹みの内側に築かれていた。
崩れた岩のうち、どうしても運べない大きな岩のみ、その場に残し、運べる重さの岩は崖の凹みの外側に逆に崖から凸状に飛び出す形に積み上げて石の壁を築きあげていた。
オークの力は人間よりも遥かに強い。
単純にオークが
個体差もあるが実際は十倍以上の筋力であるはずだ。
協力し合えばトン単位の岩だって簡単に運べるだろう。
簡単に槌で壊せるような安っぽい壁ではない。
ただ無造作に石を山のように積み上げただけではなく石の凹凸の向きを見極め、石と石がうまくかみ合い、かかる力を分散させるように調整しながら積み上げられている。
単なる集落ではなく砦や城の域であった。
『
石積みの技術者の手が入っているのは明らかだ。
その技術者こそがオークジェネラルと呼ばれるオークだった。
一方、
性的な成体という意味では実際はもう少し早いが、それは肉体が子供を作れるようになったというだけの話で人生経験を積んで精神的にもいっぱしの大人になった状態とは違うのは言うまでもない。
十五歳では、まだ、いっぱしの大人たちからは子供扱いされる程度の存在だ。
十五年分の子供の浅知恵など高が知れている。
同じことはオークにも言えた。
早ければ五歳五ヶ月で子どもを産むが頭の中身は人間でいうところの五歳児だ。
オークが脳筋集団である所以だ。
肉体が大人の大きさであるというだけで中身が子どもなのだから『突撃』とか『殺せ』とか簡単な命令にしか従えない。
むしろ、それすらできない者も多い。
命令無視とて命令を出す者がいて初めて成り立つ話であってオークだけの群れの場合は要するに烏合の衆だ。怪力にさえ気を付けていれば、あまり問題はない。
オークとして最低十年以上は生き延び、自分の特徴にあった戦闘のスタイルを身に
つけてオークメイジとかオークアーチャーといった一目置かれるオークにならないと他のオークたちに命令を出せるまでには至れない。
良い指揮官に恵まれれば生き延びる可能性もあがるはずだが良い指揮官がいないので大半のオークが十年も生き延びられずに、ただのオークのまま死んでいく。
旺盛な繁殖力のみで種を存続させるという悪循環だ。
オークとして二十年以上を生き延びオークメイジやオークアーチャーなどでの経験も経て成人
大人の余裕でオークはおろかオークメイジやオークアーチャー、オークリーダーすら使いこなす。
脳筋集団に戦闘の指示を出すばかりではなく土木的な知識や技術も身に着けているため自ら工兵としても親方としても働き砦の建築や壁の設置などもやってのける存在だ。
王国側の抜け道を使って、この地に集められている理由は多分そのためだ。
オークたちは集落の要塞化を目論んでいるように見受けられた。
崖と壁で囲まれた空間の中に運べないような大きな岩は土台としてうまく利用して木材と岩で建物が建てられている。
もちろん、木材は周辺の針葉樹を伐採したものだ。
大小合わせて三十前後の建物が並んでいた。
基本、オークは大家族だ。
逆に家族持ちでないオークは集団で雑魚寝だった。
そこから考えると三十前後の建物というのは百人どころの規模ではなかった。
数百人単位のオークが集落にはいるだろう。
千人いたとしても驚かない。
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