第24話 オーク装備
24
前方からルンが戻ってきて、ぼくに合流した。
腰にいくつかオークジェネラルの首をぶら下げていた。
その場に留まっていると、マリア、ヘルダ、ジョシカもやってきた。
皆、いくつかオークジェネラルの首を持っている。
四人は傭兵だ。
『
今回の少数精鋭チーム側で言えば具体的には持ち帰ったジェネラルの首の数でボーナスが査定されるらしい。
そこは隊長であるマリアも同様だ。
その他の雑魚オークはカウントされない。通常業務の範疇だった。
ヘルダが全員のジェネラルの数を記録した。
このルールだと囮役のぼくにはボーナスの支給はなさそうだ。
もっとも、今のぼくは『
とにかく、早く作戦が終了してくれないと、ぼくは困る。
スレイス隊にギルドで合流しようという話をしたから安否確認に一度は戻らないといけないだろう。向こうもぼくのことを心配しているはずだ。
ニャイも心配してくれているだろうか?
この間は怒らせちゃったけれども今度会ったら食事に誘おう。絶対に。
もう会わないつもりだったけれども会う機会があるとなったら欲が出てきた。
未練だ。
でも、ノルマルたちには、とても顔を合わせづらいな。
ぼくが脱隊したことについてニャイから話を聞いたはずだ。どう思っているだろう?
居なくなって清々したと思われていたら悲しいし、戻って来いと言われても、役立たずのまま『同期集団』の情けに
傭兵としてはまだ何も働きらしい働きをしていなかったから、向いているかも、この先やっていけそうかも判断のしようがない。
ただし、活動場所が違うので、傭兵になった場合は少なくともニャイと同じ街には住めないだろう。
やっぱり、スレイスたちのところにお世話になろうかな。
そんなことを考えていたら「お前にはこれだ」とルンからジェネラルの生首とは別の袋を投げ出された。
「あたしもある」
「俺もだ」
ヘルダとジョシカだ。
「みんな、考えは同じね」
と、苦笑しながら最後にマリアも袋を出した。
四人が持ってきた袋を開くと、それぞれ各種防具一式だった。
オークジェネラルから剥いできた物だ。
オークの装備はしょぼいけれども、ジェネラルともなるとそこそこだった。
少なくとも、ぼくが使っているボロボロの革鎧よりは使える品だ。
「皆さん、気にかけてくれてたんだ」
ぼくは、うるっときた。
ただの臨時手伝いなのにすみません。
「作戦中は、お前も『
ルンが照れたような口調で言った。
血だらけだったけれども拭けばいい。
問題はサイズだ。
ぼくより、オークジェネラルのほうがガタイが良かった。
だから、ぼくには少し大きい。
そして重い。
皆さん、何人かずつジェネラルを倒した中から比較的マシそうな装備を選んで持ってきてくれたみたいだ。
それが四人ともだったので、さらに厳選して選ぶことができた。
胸あて。腹あて。首あて。肩あて。脛あて。兜。籠手。盾。鎖帷子。ブーツ。
色々あった。
まず、鎖帷子が気になった。
この間は奇跡的にジェネラルの胸にナイフを突き立てられたけれども、斬りかかったんだとしたら、ぼくなんかじゃ普通はまず斬れない。鉄を斬る技量が必要だ。
そんな技量をその辺の魔物が持っているわけはなかったので、鎖帷子を着こめば探索者としての安全度は飛躍的に高まるはずだ。
長袖なので手首も守れる。
ただし、殴られた衝撃はあるので過信は禁物だ。
矢で射られてもダメ。
心臓を一突きされないように鎖帷子の上から胸当てだけ付けた。
さらに脛あて。
狼系の魔物が足を噛みに来るので以前から対策できればと思っていた。
そのあたりで、ぼくには重量オーバーだ。
首や肩、頭もガードしたかったけれども諦めた。
頭は鎖帷子のフードで代用しよう。
ブーツはオークの足の臭さと水虫がうつりそうなのでパス。
小さい丸い盾があったので、それだけはベルトで背中にかけた。
相手に背を向けて逃げる時に矢を射かけられても少し安心だ。
そんなこんなで、ぼくの装備が一式揃った。
以前より防御力としては大分ましになっただろう。
見た目は、まるでオークだった。
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