第3話

 ん、あれ。目の前に、さっきの2人が……やばい。トリップしてしまっていたら、いつの間にか2人の注目を集めてしまっていたらしい。拙い、まずい。



「え、あ、ありがとぅございますぅ……で、でも、お気になさらずぅ……ふ、ふひひ」


「いや、後ろから『死ぬ』とか聞こえてきたら、気にしないわけにはいかないでしょ。ほんと、大丈夫?」



 声に出てたァ?! 死ぬか、根來和歌。ここで死ぬか?!



「そうです、今日は日差しが強いそうなので、油断すると具合悪くなってしまいますよっ」



 あぁ人を外見で判断してはいけないと言われ幾年月。しかしこの目の前の方は私の想像(妄想)どおりの、丁寧系小動物女子っ!


そうですよね、そうですよね! そんな愛くるしい見た目しておいて、天使じゃないわけないですよね!



「ん、さすが小雪、よく調べてるんだね」



 あぁそしてこちらの少しボーイッシュなお姉さんは、やはり見た目(妄想)通りのクール系! 揺れるポニーテールがよく似合ってらっしゃる!


しかし刮目して見よ! その表情や言葉の端々に浮かぶ、相手の事を理解している優しいものを!


 聞きましたか皆さん! 『さすが小雪』ですって、『さすが』! 流石なんて言葉、普段から相手の事を見てなければ、出てこねぇよなぁおい!



「占いを見るついでに、朝のニュース見てたらやってて……あはは」


「占いね。そう言うの気にするんだ」


「うん。私と……紅葉ちゃんのをね、よく見てるんだ」



 待って、雲行きが怪しくなってきた、いい意味で。しかしこの場にいると拙い気がする。


ゴミ捨て場で頭の上の電線にカラスが止まっていた時のような、駅の改札を抜けた瞬間に列車の発車音が聞こえてきた時のような、自分が酷い目に遭う姿がありありと想像できるぞう。



「私の? へぇ……占いって、何座と何座が相性がいいとか、教えてくれるよね」


「そうだね。この人といれば、その日は幸運が訪れるとか、教えてくれるよ」


「ちなみにさ」


「うん? なにかな、楓ちゃん」


「私と小雪の『相性』はどうだったの?」


「へ?! わ、私と紅葉ちゃんの相性は……その……良かった、よ。えへへ」



 光が。


 やば。


 これ。


 死。



「あー……もし、そこなお二方。その子を介抱してくれてありがとう」

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