2ページ目 いきるいみ
『涙こらえて生きる必要なんてないの』
耳をふさぐイヤホンから聞こえる歌に耳を傾ける。
行きも帰りも、自分はスマホで音楽を聞きながら移動している。好きだという理由はもちろんだが、歌を聞いているとすぐに時間が過ぎてくれるからということも大きいと思う。
中学校が好きだった。その中での生活や、何よりクラスメイト―友達―が何より好きだった。
家にいるよりも学校でみんなと過ごす方が、ずっと楽しかったし、
放課後や休日に会えたらすごくうれしかった。
電車に揺られる自分の隣は知らない人で、バスで会うことはあるけどそれでも一緒にいる時間は少なくなってしまった。
一人を感じることが増えた
こころがえぐられたみたいで、
空いた部分が定期的に痛む
多分愛してた。誇張じゃなくて、一緒にいられるならどんなこともしたいほど。告白されたらだれでもふたつ返事で付き合うくらいに。
でも、いつも会えていたみんながいまはいなくて。唯一みんなを感じられるスマホの、その通知を楽しみに過ごす。
すこしは心が癒えるけど、すぐに「会いたい」ってきもちでいっぱいになって、
会えたらその胸に飛び込んで、苦しいって言われるくらい抱きしめてそのまま手を繋いで歩きたい。
そう思ってしまうのを、みんなは気持ち悪いっていうのかな。
ただ、バスで隣りに座ってくれたとき
「うれしい」って思うことぐらいはゆるされるよね
だれか…バス停であえないかな…
夕日に染まる住宅街をぬけ、その窓に写る乗客に求める人の影は映っていなかった。
不幸による幸福な死 ぴゃぁ @toppogi2525
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