不幸による幸福な死
ぴゃぁ
1ページ目 日常
かえりたい…
そう思っていると、駅に求めていた音が響く。
少しづつ大きくなっていくカンカンという、一定のリズム。また今日が終わることを感じて気分が下がる。
することもなく手に持っていたスマホをズボンのポケットに入れて、黄色い線に近づいていく。
ねずみ色の肌に赤の化粧を施したその体に、まだ明るい光が反射して少し目をすぼめる。
足を止める
あるきだす。
黄色に足が並んでも止まるこなく、そのまま向かい側のホームを目指すように進み続ける。
体を支えるものがなくなり宙に浮いた。
空に止まる僕を待ってましたと言わんばかりに電車が弾き飛ばす。
数十メートルほど吹き飛んだ肉塊は、
クタクタになった靴紐のようで…
スピードを緩めて駅に止まった電車にあたって霧散した。
開いている席に座って動き出すのを待つ。
即死ではあるだろうけど、きれいじゃない。
原型がないとかではなく、死までの猶予がないから亡骸に感情がのらない。
まぁ、そもそもそんなことをする勇気もないのだが。
スマホを取り出してメモ帳を開く。
想ったことを家に帰るまでの間に書きつづる。
別に特別でもない。
日記とも言えないクスゴミみたいなノンフィクション。
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