第12話
暫し見つめ合って,
あぁいい意味じゃない.
もう駄目だ,これ.
カウント.
3.2.1走り出す.
出口向けて.
俺は帰って寝る.
寝るんだ.
「おいっ」
狭い通路が焦った心に邪魔をして,
一足遅れる.
「言葉にならない機微に長けてますよ」
そうか…こいつ…
読みながら仕事をしてるってか.
無駄にだだっ広い空間が恨めしくなる.
小さい教室で良かったんだよ.
あーあ.
どっこも空いて無かったけどなっ.
しかも…
何なら…
体力勝負も出来るって事か…
なにそれ持久力?瞬発力?
はぁ…
「帰って寝るだけが何で駄目なの」
ほんとまじで.
「お前,読み切れてない俺の事」
あー…
もうっ言ってる事意味が分かんない.
難しい顔してたのに,不意に笑った.
「何だよ」
怖過ぎて訳分かんないよ.
「きもって言いそうになる」
「我慢したんだ」
「うん」
「か」
あぁっ
「か?」
「勘弁して」
勘弁して,可愛いとか言いそうになるのなんてやめろよ俺.
でも,こっちは笑えないの.
「じゃあ,ここで一緒に寝る?
もうほんと寝ないと.」
俺の電池が切れる.
切れかけてる.切れるぞっ全くっ.
「ほんとに?一緒に?
そういう性癖?」
「あぁ…
今の感嘆のあぁな.
同意のあぁじゃないよ.」
「あぁ…」
「何でもそっちに結びつけんなよ.
馬鹿だろお前.
賢そうに見せかけた本能馬鹿.
はぁ…」
「ただ連絡はしないって言うだけが」
「ただかどうかはこっちの問題.
とにかく今は結論出せないって.
保留.」
「保留って怖いですよ」
「結論急かすお前の方が怖いわ.
別に物事動かすって言ってない.
取り敢えず落ち着いて考えられんから落ち着いた後…
また考えるっつってんのが何で分かんねーんだよ!
つーか,そもそもお前の許可とか要らんだろ.
事務所の何だ重役ってか!?
うるせーんだよまじで.
こっちがどうしよーと勝手だろっ」
最後,机をダンって力任せに殴りつけて,
全然全てが落ち着かなくて.
「次は何処向かうか分かんねーぞ」
イライラして言い放った.
もう止まんなかった.
「その顔だったらどうする?
腹だったら?」
もう行けよ.
ここまで言わすなよ.
って思ったんだけど,
ちょっと今俺興奮してんなって思って.
ヤバいか.
自分が.荒ぶってる.
今なら襲えそう.
いつも,こうやって切れながら憤怒して,
好きな子抱くの?
これからも,ずっと?
はぁ…
なんかそれこそ情けねー.
「退いて,そこ」
御免.
言えなかった.
下向いて動かない.
無理矢理通って,帰ろう.
俺は帰って眠りたい.
こいつは声を掛けても退かない.
結果,押し退けるしかない.
もうそれしかない.
残念だけど.
エーヴィちゃんとモーデルくん 食連星 @kakumi
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