子どもほしいね
@battera13
子どもほしいね
私たちは結婚二年目の夫婦。子どもはいない。
金曜日の朝。あたしがご飯とみそ汁をテーブルに並べていると、夫が穏やかにたずねてきた。
「もうそろそろ子どもどうかなあ」
「そうねえ」
夫は優しい。お漬物を切り損ねてつながったままでもユーモアで返してくれる。そんな彼だから、子どもができたら育休を取ってくれるだろうし、夫の両親はあたしにも優しいから、援助してくれるのも分かっている。
今年の夏であたしは二十八。ちょうどいい年齢。夫の気持ちは分かっている。でも、肝心の私の両親は…。
夜、話をした。両親からいらない子あつかいされた過去のことを。
「子どもが生まれてあなたの愛が移るのはいや。何より…」ゴクリ。
「優しいあなたやお義父さん、お義母さんたちの愛情に包まれて育つ姿を見るのはもっとイヤ」
もう、止まらない「孫が私の両親の子育てが成功した証になるのは許せない」
今日は満月。夫は何も言わず、ただ、抱きしめてくれた。
子どもほしいね @battera13
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます