第13話 最強魔王は覚悟を決める
「今日はなんだか学校中が騒がしいな」
学校についてすぐ俺はそれが少し気になった。
「知らないんですかシュガーさん!今日はここの卒業生で現在の勇者パーティーが返ってくる日ですよ!情報では今回もダメだったみたいですけど皆さん楽しみにしているんですよ」
登校中ばったり会ったレミリアがそう解説してくれた。
「それだけじゃないぞシュガー、今日は国王達もくるんだ。楽しみだな!」
ウォルトも興奮気味に話している。普段冷静だがこういうお祭りごとは好きみたいだ。
「祭りみたいなもんなんだな。れ、じゃあ今日は授業はないのか?」
もし休みなら家でゆっくり寝ときたかったのだが。
「いえ、授業はありますよ。ただお昼には終わるみたいですけど。それよりお祭りとは何でしょうか?」
そうか祭りってめっちゃ日本の言葉だった。伝わるわけないか。
「えっと祭りというのは地域によって少し違うんだけどみんなで俺のとこだといろんなお店がでて友達とご飯を食べながら楽しむイベントかな。」
これで説明があっているのかわからないが神がいるかわからないこの世界で下手に神の話も出せないしな。
「なるほど。なら今回のはその祭りにだと思うぞ。年一回だしお店もあるしな。」
それは面白そうだな。
「授業が終わったら行ってみないか。二人は今日時間ある?」
「大丈夫ですよ。行きましょうか。」
「僕もいけるよ。お店でご飯も食べたいしな。」
こうして俺らはその祭りに行くことにいた。
授業が終わりみんなで行くことになった。
「授業お疲れさまでした。そろそろ勇者さんたちが来るみたいですよ。」
「国王も一緒に来るらしい。きっと勇者と一緒に出ることでこの学園を作ったことをアピールしたいんだろう。」
一気に冷静な分析を始めたウォルト。確かにここでここで勇者と一緒に歩くと勝って言おうと負けて言おうと町のみんなが知っている勇者を育てたんだぞとアピールできる。逆に言えば今回国王を見ることでなぜこの国が俺を倒せないのかわかるかもしれない。
「来ましたよ!」
レミリアが指さし方を見た。
音楽が流れ馬に乗った護衛隊員と歩兵隊に囲まれるように勇者たちが歩いてきた。
この間俺が倒したパーティーだ。なんとも浮かばない顔をしているがそれでも勇者に選ばれたことが誇らしいのが俺たちの手を振ってくれている。
そして後ろに国王がいた。正直普通の王という感じだが何とも言えない雰囲気を感じる。かなり強いのだろう。そしてかなりの野心が眠っていそうだ。
それよりも勇者達の振る舞いに違和感を感じた。
「なんで勇者たちは国王の方を見ようとしないんだ。負けたからひけめに感じているのか?」
「そうですか?そんな風には感じないですが。でも多少のひけめはあるんでしょうね。」
「まあ、それでもこの学校を首席で卒業したばかりのパーティーが魔王に挑んでるんだ。それだけでも勇者といわれるにふさわしい人達だよ。」
「まってくれ、勇者はこの学校から出るのであって卒業してすぐに選ばれるのか!?学校の四年間の卒業までの訓練しか受けていないのか?」
「そう言うことになるな。」
ありえない。そしてすべて腑に落ちた。なぜ勇者たちは俺に負け続けるのか。そりゃ勝てるわけがない。数年数十年訓練を受けても俺に勝てないのにたった四年で俺を倒せるわけがない。それにそれを許しているあの国王は何を考えてるんだ。
「止まってくれ。」
俺が考えている間に国王が言った。
そしてなぜだがこちらに歩いてきている気がする。
レミリアとウォルトはもう固まってしまってる。何が起きてるんだ。
「君はここの生徒かい?」
「そうですがどうして私のような一般の生徒に何か御用ですか?」
「少し君と話してみたくてね。君も勇者になりたいのなら一つアドバイスをしてやろう。あまり深く考えない方がいい。純粋に学業に励め。」
一体こいつは何を言っているのだろうか。
「ありがとうございます。心にとめておきます。」
そう俺に言うと彼は元の位置に戻りパレードが再開されそのパレード終わった。
それから俺たちはご飯を食べたり音楽を聴いたりした。
そして俺は一つ分かったことがある。
俺を倒すパーティーを作るにはこの四年間で徹底的に鍛えるしかない。
「楽しかったですねシュガーさん勇者達もかっこよかったです。」
「ああ、楽しかった。」
「シュガーまた別の祭りも行ってみよう。」
「なあ。二人は勇者になりたいか?俺はなりたい二人がもしなりたいのなら本気で魔王を倒すことを目指してみないか。象徴としての勇者じゃなく魔王を倒した勇者に」
二人にそう聞いてみた。
「私は貴族です。それもあってこの学園に来ました。しかし勇者になりたいという夢があります。なので私はシュガーさんのその提案に賛成です。」
「僕も勇者になりたい。負けて帰ってくる今までの勇者と違って魔王を倒したほんとの勇者に。」
「決まりだ。俺たちはこの四年で魔王を倒す力を手に入れるぞ。そしてそれを俺が助けてやる。」
こうして覚悟を決めた。
世界最強魔王だった俺、いい加減倒して欲しいので学園に潜り込んで最強勇者を育てたいと思います。 鈴鹿なし @suzukanasi
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