第4話 生きづらさがないわけじゃない。
このように高IQだからと言って生きづらさがないわけではない、と私の人生からも言える。YouTubeなどで知能指数、と調べると高IQだと人生バラ色のように宣伝されることが多いが、実際は高IQであることで人生に対して生きづらさを抱えているケースはある。アメリカのある調査(『わが子がギフテッドかもしれないとおもったら』引用)にによると、IQが150以上あるギフテッドの高校中退率は健常者のケースよりもリスクが6倍に跳ね上がるという。6倍という数字は決して少なくない数だろう。
私の場合、言語性IQが160近くあり、動作性IQが境界知能、という凸凹が激しいタイプの当事者だ。自分の生きづらさにギフテッドの特性と境界知能の特性が合わさっているという自覚はある。実際、東大のほうでもその数値の差が激しいことが抑うつ状態の傾向に拍車をかけていると指摘された。
東大には感謝してもし尽せない。自分の生きづらさに名前がついて冬の日に東大で被験者になったことは私の人生の中で節目になった。東大のキャンバスに初めて入り、多くの学生を目にしたがもし、話せたら気が合いそうな当事者の方とすれ違い、私は安心した。ああ、自分と似たようなタイプの人がいるんだ、と思えて安堵した。
もし、二次障害を発症しなかったら大学受験も挑戦したかったし、大学で好きな勉強をしたかった。今は金銭的な理由や身体的な理由で大学受験を諦めているが東大のキャンバスはいい意味で刺激的だった。
高IQがあっても生きづらさは減らないし、そんなにすごいわけじゃない。自分にはできないこともたくさんある。ネット投稿を初めて思ったこと。世の中には文章力に秀でているアマチュア物書きさんがたくさんいらっしゃる。読み応えがあって光るような作品を毎秒のようにアップしているアマチュア物書きさんがこの瞬間にも誕生している。
中には境界知能をカミングアウトしながらエッセイやYouTubeに投稿されている当事者の方もいらっしゃるが、彼ら、彼女らの発信を見るといい刺激になる。中には再生回数を大幅に稼いでいる当事者の方もいらして、そんな状況にいい意味で嫉妬さえ覚える。
本当にIQだけが指針じゃないんだよ、ともし、社会に一言だけ言えるのならば言いたい。高IQがあると診断されても出来ないことはたくさんあるし、劣等感や生きにくさだってたくさんある。私は私のことをそんなにできる人間だと思っていない。数値は確かに高い数値もあったかもしれないけど何も出来ていない自覚がある。
こんな数値をもらっても全然自信がないし、できないことばかりに目が付く。抑うつ状態が長引き、今この瞬間でさえも希死念慮が拭えない。私は劣等感の塊だと自覚している。確かに知能検査を受けた時、得意な言語理解の分野はあっさりと解けたが、処理速度などの数値を測る問題はすぐにギブアップした。そのできる/できない、とバラツキに私自身が驚いていた。
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