第4話 覚醒


 男として、自信をつけるには、筋トレだ。


その日から、俺は筋トレ、バイト、大学に打ち込んだ。


ちなみに、趣味のWEB小説も執筆している。


2か月後、俺の腹筋はシックスパックになっていた。


この2か月間、咲枝さんとは、公園でしか会っていない。


彼女に自宅に誘われるが、俺は自分に咲枝さんにふさわしい男になってから、正々堂々と彼女に告白することを意識し、断っていた。


誘いに乗れば、俺は彼女に甘えてしまう。


それでは、ふさわしい男にはなれない。


だから、俺は自分に厳しくなった。


「安芸、お前最近、変わったよな。」


永田がそんなことを言っていたが、それは愛の力ゆえだ。


「安芸君、最近この小説面白くて、はまってるんだ。」


それは、俺が以前、薦めた俺の作品。


もちろん、ペンネームを使っているので、作者が俺だとはわからないはず。


ジャンルは恋愛物だ。


不運な別れ方をしたヒロインが新たな幸せを手にするといった感じのプロットになっている。


何を隠そう。このヒロインのモデルは咲枝さんだ。


俺は作品を通して、彼女の元気を取り戻す応援をしたかった。


俺の作品が更新される度に彼女は感想を俺に言ってくれる。


それが俺の活力になっていた。


 月日は流れ、大学卒業後、俺たちは結ばれた。


「あの作品の作者って、仁平君でしょ?」


「!」


「その反応を見るに、図星のようね。」


「いつから、気が付いてた?」


「最初からよ。まず、ペンネームがアキタロウって時点で怪しかったし、タイミング的にも君が私を励ましてくれたのかなって思ってたのよ。」


「ばれてたか。」


「好きよ。仁平君。」


「俺もだよ。」


俺たちは互いに深く抱擁しあう。


いつまでも、この幸せが続きますように。


そう願いを込めて。


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ここまで、お付き合いいただきありがとうございました。この物語はこれで最終回です。楽しんでいただけたら嬉しいです。

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きっかけは森林公園で ただ仁太郎 @tadajintaro

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