第40話 2日目 -盾術-

ボクらは、グランディッシュへ向けて馬を走らせた。


夕方過ぎ頃に、新たな野営地に到着した。


もう、明日には、グランディッシュに入街するようだ。


元々は、父さんも1週間かけようと思っていたらしいが思った以上にボクの修練の熟達具合がいいらしく最短の三日での到着になった。


「さて、ハルマン。

今日は、盾術の訓練を付けるからな」

「はい、父さん」

「まずは、俺が盾を使う。

お前は、切りかかってこい」


ボクの手には、木剣が握られている。


父さんは、十字架と太陽の意匠の施された円盾を構えていた。


ボクの胸に刻まれた聖痕にそっくりの意匠。


父さんの専用装備なのだと思う。


ボクは、しっかり踏み込みをして切りかかる。


次の瞬間、盾に木剣が当たる。が、木剣は盾の表面を滑る様に軌道を描いた。


「これが、受け流しだ」

「なるほど、威力を逸らされたんですね」

「そうだ、これができれは反撃の隙が生まれる」


それから、父さんに攻撃方法、防ぎ方をレクチャーしてもらった。


一通り教わると攻守交替になった。


父さんが、木剣を構える。


ボクもまた、盾を構える。


そして、父さんが切りかかってくる。


僕は、盾で防ぐ動作をしながら盾で父さんの手を叩く。


「いって!おい、ハルマン。

いきなりカウンターか・・・呑み込みの早いやつだな」


父さんは、たまらず木剣を落としていた。


確かに金属盾で殴られれば痛いよな。


「おまえ、一目見てもう習得してるのか。

呆れたな。そこまで、呑み込みが早いとは」


父さんにすごく呆れられた。


出来てしまったのだから仕方ないじゃないか。


「ハルマン、とりあえずいまはここまでできれば上出来だ。

街に着いてからお前には俺の騎士団に入ってもらう」

「騎士団に?」

「そこで、今度はしっかり軍隊基礎を学ぶんだ」

「分かりました」


集団行動としての訓練ということか。


確かに今までのボクにはないものだ。


はやく、グランディッシュに行ってみたい。


明日、やっと着くんだ。


楽しみだ。

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片田舎の小さな村出身の少年(実は勇者の隠し子)、ある日盗賊に襲われたお嬢様を助けたら求婚された。 天風 繋 @amkze

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