第39話 2日目 -ハルクトの事情-
やがて、母さんがご飯を作り終わる頃、父さんが起きてきた。
「おはよう、リリアス。ハルマン」
「おはよう、ハルクト」
「おはよう、父さん」
父さんは、ニカっと笑みを浮かべた。
「ハルマン、不思議だと思ったか?」
「え?う、うん」
父さんが笑みを浮かべた理由がわからなかった。
ボクは、まだ父さんのことをまだ知らないことが多い。
「ハルマンの他にもな、子供がいるんだ・・・だがな、俺とは対話してくれないんだわ。
だから、こうして返してくれるのが嬉しくてな。
まあ、子供だけじゃなくてあいつらはだな」
そう言えば、母さんが正妻になるって言ってたな。
そうすると、あれ?
「そうだな、今のうちに話しておくか」
父さんからその後、グランディッシュの事情を聴くのだった。
◇
父さん、グランディッシュ領主ハルクトには奥さんがいる。
子供二人で、男の子と女の子。
男の子の方は、6歳。
女の子の方は、10歳らしい。
それぞれに素行が悪いとのことだ。
奥さんの名前は、クレア。
元々は、グランディッシュの北東にあるバレカシア領の子爵の次女だったらしい。
ただ、甘やかして育てられたために我儘で横暴。
金遣いも荒いらしい。
それを、子供たちも引き継いでいるらしい。
母さんを正妻に据えることで離縁も考えているようだ。
それに伴い、子供たちとも縁を切るとのこと。
ボクは、正式にハルクトの跡取りになる。
その為には、貴族としてのマナーも学ばなければならない。
シアンと歩むためにはいろいろ学ばないといけないことが多いようだ。
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