衝動

@16BAN

第1話

今僕はついに人を殺した。誰なんだろうこの人は...。家族がいるのだろうか、愛人がいるのだろうか、どんな人なんだろうか、、

一瞬頭をよぎったがどうでもいい事のように感じた。

僕が殺した人はただの男性。自分にわかるのはそれくらいだ。


*とある日の夜公園で「こんばんは」と、僕はスーツを身につけ、公園のベンチに腰掛ける男性に挨拶をすると、「...?こんばんは」と、少し考える間を空け、驚いた様子でその男性は挨拶を返した。きっと(誰だこの人は)と不審に思っただろう。実は僕もこの人を知らない。その後僕は「これお兄さんのハンカチじゃないですか?さっき落とすところを見たような気がして」見た目は30代なので、とてもお兄さんと呼べる感じではないが、目上の人への形だけの敬意を払ってみた。そして男性はまた驚き「いやぁ、僕のでは..ないかなぁ。ちなみにどこで拾ったの?」

「中田駅の改札を出たところら辺です」そう返した。

「そっかぁ、僕のではないから、人違いかもしれないね。一旦交番に届けようか」男性はそう提案してきた。「そうですね、近くの交番はどこですか?」僕は場所を尋ねた。

「一緒に僕もついて行くよ。君学生?心細いかもだし。ちょっと待ってね」男性はそう優しく言い、胸ポケットからスマホを取り出してマップのアプリを開いた。そして交番の場所が把握できたのだろうか。「じゃあ行こっか!」と元気に立ち上がった。

僕はすかさず周りに誰もいない事を確認した。(よし。いなさそうだ)




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