第29話 戦闘が終わった後の定番

 六階層で白熊との戦闘を制した俺は次の七階層に降りてきて周囲を確認する。


 するとすぐ傍にセーフティーサークルがあったのでそこで休息を取ることにした。


 時間的にはまだ午後5時前だが、このエリアはどうやらがあるようだった。


 暗くなっていく空を見上げてやはりダンジョンは不思議な場所なのだと改めて感じながら俺は手際良くテントを建てた。


 それから俺はまず着たままだったスノーウェアを脱いでアイテムボックスに入れた。軽装になった俺は次に晩飯の用意に取り掛かった。


 適当に石で火を囲うように並べてアイテムボックスにある薪を石の中心に組み上げる。


 見た目は小さなキャンプファイヤーだ。


 火を起こしたら次は料理の支度をする。


 アイテムボックスの中身を確認していくと魚が入っている事を思い出した。


 「・・・そういえば、鮮度管理の実験もしてたんだったな・・・うん、大丈夫そうだな。なら、魚を捌いて・・・いや、ワタを取って串を刺して焼き魚にしようかな、塩もたっぷり振って・・・」


 そう言って俺は魚の鱗を剥がす作業に入った。


 勿論、米は既に飯盒炊爨で炊いているので準備は万全だ。


 パンは確かに手軽だが、それは買うからだ。


 自分で作って食べるなら米一択、そう俺は考えている。


 マグロの切り身は流石にアイテムボックスに入れなかったんだよな・・・勿体無いから悠二に用意された次の日には食べてしまった。


 今度悠二の所に買い物に行ったら次はサーモンを用意してもらおう。


 そう考えながら俺は、適度に魚の串を回す。


 それから30分もしないうちにご飯の支度は終わり、更に一時間もしないうちに食事を済ませた。


 勿論、量が少ない事は決して無い。


 「・・・飯盒炊爨で3つ同時に炊いたご飯がこんな感じで消費してしまうと、胃袋にもレベルアップの効果があるのかね?」


 俺は今後の食費を考えながら戦闘後の恒例であるステータスチェックを行う。


 「ステータス・・・やはり変わりは無いか」


 だが、やはりレベルは50で止まったままだった。


 ステータスも変わりは無いが、白熊を倒した時に訳ではないと感じた。


 やはり条件があるのだろう。


 「・・・問題はその条件がどんなモノなのかが問題なんだよな」


 俺は暫くその条件を考えたがとにかく獲物を仕留めるしかないという結論に至った。


 出来ればこの階層のモンスターは食えるモンスターであることを祈る。


 じゃないと狩り甲斐がないからな・・・段々と捕食者になっているが、最早自分でも止まる気がないのが悩ましい所だ。


 強くなる為には弱肉強食をその身に宿さないと強くなれない。


 俺の直感がそう告げていた。

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20XX年、世界はファンタジー化の波に飲み込まれた!? 〜現実はファンタジーとダンジョンとゲームに侵食されました~ @kikuhitohira

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