最終章

こうして、僕らの冒険は終わりを告げた。


無事に化身たちは封印され、世界に再び平穏が訪れた。


彼らの力によって壊れてしまったものは少なくない。

だが、長い年月をかけながら再生していくことだろう。



役目を果たした僕らは、別れを告げ、それぞれ帰路についた。


またいつか、再び出会えることを信じて。


...


そして進むこと半日、


最初にハヤテと出会った小川にたどり着いた。


僕の家が遠かったこともあり、ハヤテが最後まで力を貸してくれた。


「ありがとう、ハヤテ」

これまでのすべての感謝をこの一言に込める。


するとハヤテは目元に涙を携えながら抱き着いてきた。


「ううん、私のほうこそありがとう。スイと旅ができて楽しかったよ...」

ひとしきり抱き合った後、ハヤテは身体を放し、涙を拭いた。


「バイバイ、スイ。また会おうね。」

「うん。またいつか、必ず」

そう告げると、ハヤテは飛び去って行った。


僕は彼女が見えなくなるまで、その姿を見送っていた。


...


ハヤテと別れて、森の中を進む。


まだ数日しか経ってないはずなのに、随分久々に感じるなぁ


そんなことを漠然と考えていると


見慣れた家が見えてきた。


おじいちゃんが待っている、僕の家。


僕は一気にドアの前まで駆け寄った。


そしてスゥっと息を吸い、勢いよくドアを開いた。


「ただいま、おじいちゃん。」

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水と風と火と土と。 えくれあ @Alcremie0869

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