毎日小説No.45  ほう! れん! そう!

五月雨前線

1話完結


「株式会社ミラコムへようこそ! 新人教育担当の宮部みやべ健作けんさくだ! よろしくな!」


「編集部に配属された四十万しじま明人あきひとです! よろしくお願いします!」


「うむ、良い返事だ! では四十万君、最初に一つ質問しよう。会社員にとって、とりわけ新人社員にとって一番重要なことがあるんだが、何か分かるかな?」


「むう……お金でしょうか?」


「ま、まあ確かにお金は大事なんだが、それよりも大事なのはほうれんそう! ほう、れん、そう、だ!」


「ほうれん草? えっと、それはどういう意味ですか?」


「やれやれ、新人研修で仕事の姿勢について教わらなかったのか?」


「えっと……あ! 『自分で調べ、考える姿勢』ってやつですね!」


「その通り! なんでもかんでも質問するのではなく、まず自分で調べて考える癖をつけること!」


「分かりました! 後でほうれん草の意味を調べて、これから頑張って仕事に励みたいと思います!」


「うむ! その意気だ!」




〜1ヶ月後〜


「宮部さん! ほうれんそうの意味調べましたよ! 報告、連絡、相談ですよね!」


「その通りだ!」


「では今から、報告、連絡、相談しますね!」


「ん? 何かあったのか?」


「まずは報告です。私は数日前にこの会社の社長を殺害しました。悪口を言われてむかついたからです」


「は?」


「続いて連絡です。今朝警察に自首の旨を伝える電話をしました。もうすぐ会社に警察が押し寄せてくると思います」


「は!? ちょ、何言ってるんだよ!」


「最後に相談です。近々裁判が行われると思うので、僕の身元引受人になってくれませんか? よし! ほう、れん、そう! ちゃんと出来ました!」


「そ、そ、そういうことじゃねえええええ!!!」


   

                          完

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毎日小説No.45  ほう! れん! そう! 五月雨前線 @am3160

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