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 お堂の奥、壇上の大きな和蝋燭の炎は、背の高い黒いマントを羽織った人と、車椅子の老婆の姿を照らしている。


 老婆は上半身に黒い浴衣のような着物を着て、下半身はぬめぬめ光る黒い粘着質のものに覆われていた。炎の薄暗い灯りでも分かるほど骨と皮だけのしわくちゃな顔。その顔の半分も黒い粘液に塗れ、ぬらぬらと鈍く光っていた。頭からは毛量の少ない白髪が胸の辺りまでさらりさらりと垂れ、腕に点滴の針が刺さっているのか、車椅子には透明な袋をぶら下げた棒のようなものがついている。


 ざわめきの中、「死体と継ぎ接ぎのおひぃ様でもご利益はあるんやろかぁ」と、背後から声が聞こえた。


 最前列の背の低い氏子がよろよろ立ち上がるのが見える。立ち上がった氏子はこちらを向き、両腕を広げると、「やめぇ……ぇいっ……」と、嗄れた声で叫んだ。叫んだ反動で黒いマントがずるりと脱げる。


 刹那、ざわめきがピタっとやんだ。


 マントの脱げた氏子の頭髪はほとんどなく、頬が年老いたブルドッグのように垂れている。どう見ても、八十歳はゆうに越えたお爺さんだ。


「ひぃ」ブルドッグ顔のおじいさんは引きつったような声を出す。「お、おひぃ様のお出ましじゃ……、静かにせんかぁ……」と、もう一度声を張り上げ、片腕を持ち上げて「はよぉ、詣って……、おっ、奥の院に行かなっ……夜が、明けてまう……」と、息継ぎをしながら続ける。


「ほ、ほうやぁ……」最前列、その隣の氏子も立ち上がり振り向くと「はよぉ、せな、時間がかかる……」とかすれた声で張り上げた。「ほうやぁ」「ほうやぁ」最前列の氏子が次々に立ち上がり、「これ以上は、まてん」と騒ぎたて始めた。


「山ちゃん、はよぉ、お……、お神酒を持ってこっ」ブルドッグのように頬の肉が垂れ下がった老人が、壇上の黒マントに向かって命令する。「ほうやぁ、お神酒呑まなぁ、はっ、始まらんっ」隣の老人もそれに次いでゲキを飛ばす。「ほうやてぇ」「ほうやてぇ」最前列だけでなく、その次の列の氏子達も立ち上がり、口々に言い始めた。


「ええ加減にしてくださいよっ!」車椅子を押してきた黒影が関西訛りで叫ぶ。年老いた老人達はピタッと動きを止めた。


「えぇ加減にしてくださいよ、田中さん。もう、こんなことはあきまへんて」


「あっ、あきまへんてって、お前、お前……」わなわなと肩を揺らす老人は、「誰に向かってぇ口をぉ聞いとるぅ……、わしは、わしは代々この村に続く……」と拳を振り上げ怒りの声を張り上げる。


 壇上の男性は「えぇ、知っておりますよ」と冷静な声で返した。お堂に響く優しいテノールの響き。どこか、懐かしいその声は諭すように「分かっておりますよ」と、ゆっくり続ける。


「二十七代続く名家って言いたいのはよぉ分かります。ほやけど、見てください。ここにいるおひぃ様は、僕を四十五の時に産みました。今年で百十五歳にならはるんです。無理して管に繋がれて、もう生きる屍になってもうてるんですよ」


「ほやしけ、次のおひぃ様を用意してたはずやっ」田中さんと呼ばれた、頬肉が垂れ下がった氏子がむくれた声で言い返す。


「次のおひぃ様は、もう終わりにせなかんと、先週自分で自分に蟲を放って死にはった。ほんなことは、ここにいるみんながよぉ知ってるやないですか。ほれを、無理くりつなぎ合わせてこんなんしてもうて。僕はもう、かわいそうでなりません」


 洸太君と顔を見合わせた。お堂の中はざわめきが轟いている。こんな騒然とした状況ならば、洸太君と顔を寄せ合い話をしても大丈夫だと思った。「どういうことなんだろう……」洸太君に顔を寄せて、疑問をそのまま口に出す。


「分かんないっすね。氏子の内乱的な?」


 ——内乱……


「……そうか」と、壇上の顔の見えない男性を見る。「そうっすね」洸太君は頷いた。


「あの車椅子を引いてきた人が山さんってことは、岩戸トンネルを作った山倉土木の人かもしれませんね。それなら秘密の地下道も作れるだろうし」

「やま、くら……」


「ほれに、僕はもうずいぶん昔に知ってしまったんですよ」関西弁の男性が悲しそうな声で話し始め、壇上に視線を戻す。


「ほんまは、氏神詣にお夜伽儀式なんてなかったんとちゃいますか?」

「ほっ、ほんなことはっ、ないっ……」田中老人は息も切れ切れに否定する。


「わしが後継いだときにはもうあったわっ」

 

 山さんはそれには答えず、「卑忌様のお力は本物です」と話し始める。


「凄いお力やと思ってます。願えばなんでも叶う。財福も、悪人駆除も、何もかも叶う。ほれは、ほんま凄い力です。せやから、年に一度の氏神詣は怠ったらあきまへん」


「ほんなら、ほんなら——」老人の声に「ほれは、いいんです」と、甘い低音の声が言葉をかぶせる。


「ほれはいい。ほれはいいんやけど、純粋な卑忌様の氏神詣に、夜這いの風習がいつからか合わさって、今の形になったって、僕は昔、聞いたんです。

 若い頃、京都で修行しとったときに、僕を取り上げてくれたお産婆さんを探したんです。ほん時に、僕は聞いてるんです。

 卑忌様をお守りする巫女さんを、村の男達が夜這いと称して蹂躙じゅうりんした。そして、その巫女さんは望まぬお子をはらまはった。そっから始まったんが、お夜伽儀式なんですよ。

 産まれた子は、誰の子か分からんから、男の子は持ちまわりで里子に出され、女の子は、夜伽でできた子を産める年齢までは巫女と称して、村の男達のお夜伽の相手として洗脳される。ほして、産めなくなったら後は、おひぃ様として祀るんです。あたかもそれが崇高な信仰の形であるように、昔の村の男達が捏造しはったんですよ」


「ほんなぁっ、ほんなことはないっ」


「ほんまは、お夜伽儀式なんてなくても、卑忌様をきちんと祀るだけで、お力は得られる。ほれを、娯楽のない村の男衆の勝手で、お夜伽儀式として捏造して、今の今まで続けてきはった。

 僕はもう、そんなんあかんと思うんです。卑忌様は本物です。代々お守りしてきた巫女の力も本物です。でも、本物やから扱いが難しくて、ほんまに怖い神様なんです」


 お堂の中がどよめいている。「どういうことや?」後ろに座る中年男性の声がした。「ほんなら、毎年の噺奉納はなしほうのうと祠のりだけで、かぁちゃんに後ろめたいことせんでええってことか?」声は続けた。別の声が唸るような声で「お夜伽儀式がいらんなら、噺奉納とおひぃ様にお参りして、御子粉おここもらって終わりっちゅうことになるわなぁ」と言っている。


 ——氏神詣と、お夜伽儀式は別物……


「僕は巫女の血筋です。ここにいるおひぃ様から産まれました。ほやから、自分のお役目を果たすために、ここでおひぃ様のお世話をしてます。

 お夜伽儀式も、ずいぶん長い間、ほういうもんかって目ぇつぶってきました。でも、もう限界や……。

 昔々の男衆が捏造したこの氏神詣のお夜伽儀式だけは、もう廃止せなあかん。日本全国、夜這いの風習だって、もうとっくに消え去って長い」


「ほんなんなぁ、ほんなんなぁ……っ、おまっ、お前がゆうとるだけやっ」最前列、別の老人の声が張りあがる。それにつられて「この嘘つきがっ」「はよぉやることやらせぇっ」「どあほぅがっ」萎びた罵声が飛び交った。


 お堂の中、氏子達はそれぞれに顔を寄せ合い黒い影が蠢いている。立ち上がるものまでいる。赤い毛氈が敷かれた通路にも氏子達が溢れ始めていた。


 私たちも立ち上がる。


 洸太君がマントの上から私の腰を引き寄せて、「紗千香さん、この混乱のうちに美蝶子ちゃんのところへ急ぎましょう」と耳元で囁いた。


「今なら俺たちが変な動きしても誰も気にしませんよ」

「うん……」


 今なら美蝶子ちゃんのところへ行ける。有象無象の烏合の衆をすり抜けて、美蝶子ちゃんの元へ。洸太君と身体を寄せ合い、身を縮めて壇上の方へと黒いマントの間を抜けていく。


「なんやぁまだやれんのか」

「ほれが楽しみやったのに」

「山さんも余計なことをしてくれる」

「今のままではあかんのか」

「外に漏れんなら問題ないわ」

「ユウサクさんもおるからな」


 すり抜けながら氏子の声が耳に入ってくる。みんな勝手なことを言っている。今の話が本当なら、意味のないお夜伽儀式で今までどれだけの女性が苦しんできたと思うのか。怒りがふつふつと湧いてくる。握っていたお守りをズボンのポケットに仕舞い込み、代わりに拳を握りしめた。


 秘密にしていればいいのか。

 外部に漏れることがなければ何をやってもいいのか。

 だから氏神詣は厳しい禁忌を作っていたのか。


 黒い隙間を縫いながら奥歯を噛み締め、拳をさらに握りしめる。はやく美蝶子ちゃんを助けにいかなくてはと気がはやる。

 

 黒一色のマントがひしめく隙間から蝋燭の炎に照らされた壇上が見えてきた。「もう少しですね」洸太君の声が聞こえる。壇上には車椅子の老婆と山さんの他に、数人の氏子の姿が見える。


 壇上に上がるには真ん中から段差を登らなくてはいけない。段差までは後少し。氏子達は壇上から距離を置くものと、壇上に登ろうとするものに分かれていた。


 壇上に登っていこうとする氏子に混じり、一段、二段、三段目で壇上に上がった。そのまま卑忌様の像の奥へ進みかけて、足が止まる。洸太君も私と同じ異変に気づいたのか、同じように足を止めた。


 車椅子に乗ったおひぃ様の身体を覆っている黒い粘液が、大きく波打っているように見える。夜の海が波打ち際を黒い海水で浸食するように、黒い粘液は、ほとんどミイラ化したおひぃ様の身体からこぽこぽと湧き出して、壇上の床に溢れ、少しづつ周辺を浸食していく。まるで生き物みたいに黒光りする床板を這っていく。


 壇上の年老いた氏子達はそれには全く気づかず、「山さんはぁもういらんしけっ」「ほうや、なんでも自分らでできるしけっ」と唾を飛ばしながら捲し立てている。


「はよぉ、お神酒出さんかっ」氏子の誰かが山さんの黒マントに手をかける。思いっきり引っ張ったのか、はらりと山さんのマントが宙に舞った。


 身体が固まった。

 呼吸を忘れた。

 目が山さんに張り付いた。


 清潔感のある短い白髪。

 山さんは、服を着ていた。

 白いシャツに黒いネクタイをしめた黒い服を着ていた。


 白いホイップクリーム、赤いサクランボ。

 背の高い、関西訛りの優しいおじさん。

 『浜なみ』の洞穴厨房で包丁を握っていた——、

 ——山倉のおじさん。


「さっさとせんかっ」壇上にいる氏子の誰かが言った。


「おひぃ様は聞いてはりますよ」山倉のおじさんは、はっきりとした声で言う。


「ほんなこたぁもうどぉでもえぇんじゃ!」壇上にいる氏子の誰かが叫ぶ。「はよせにゃ朝になってまうやろっ」他の氏子の声も飛ぶ。


 車椅子を持ったまま、山倉のおじさんは背筋を伸ばす。背筋の伸びた背の高い山倉のおじさんは、興奮して我を忘れる氏子達の顔を見下ろし、「卑忌様を代々お守りしてきた巫女、おひぃ様の力は本物です。慰み者にされようが、自分のお役目を全うし、卑忌様のお力をお身体に貯めておられるのです」冷静に言葉を紡ぐ。

 

「だからどないしたいうんやっ」

「ほうやほうやっ!」

「もう車椅子に乗ったただのミイラやっ。死ぬまで祀りあげとけばいいだけの、ただのミイラやっ!」


 山倉のおじさんは恫喝的な声にも全く動じる気配がない。


「卑忌様には感情がない。願いを叶え、それ相応の物を受け取るだけです。しかし、おひぃ様は、人ですよ……。まだご高齢でも生きておられる。おひぃ様……、私の母は……、心を持った、人、なのです」


 ざざざざぁ、ざざざざざざぁ

 

 山倉のおじさんの声に共鳴するように、足元から、聞こえるはずのない波音が身体を這い上がってくるような気がした。


「紗千香さんっあれっ!」洸太君がマントの中から腕を出し、床を指差した。


 床に目を向ける。車椅子に乗ったおひぃ様の身体から湧き出た黒い粘液が、周りに立つ氏子達の足元に、てらてらと鈍く光りながら広がっていた。氏子達は誰もそのことに気付いていない。いまこうして見ている間にも、確実に、確実に、氏子達の足元に黒い粘液は水溜りのように広がっていく。


「うぎゃっ」壇上で誰かの声がした。

「ぐぐぅ」別の誰かの声もした。


 山倉のおじさんを取り囲んでいた氏子達のマントが一斉にもぞもぞと蠢き始めた気がした。


「やぁ、や……、やめっ」無茶苦茶に身体を動かしマントを老人が脱ぎ捨てた。思わず目を背けたくなる。でも、異様な光景で、目が離せない。


 全裸になった氏子の老人は、骨から肉が離れ落ちたような弛んだ身体をしていた。鶏がらみたいな足元からは、黒い粘液がアメーバのようにじわじわと這い上っている。


 次々と脱ぎ捨てられる黒マントと、露わになる年老いた身体。「ひっ……ぃぃい〜」壇上に広がる、風船が萎むような悲鳴。黒い粘液が年老いた氏子達の身体をどんどん真っ黒に塗りつぶしていく。


「うぐぅ」

「ぎぃぐっぅ……」


 あちこちから断末魔のような掠れた声が漏れ始めた。


「たぁ、すけ……」裸になった哀れな氏子が、こっちに向かって両腕を伸ばし、足を踏み出すのが見えた。よろめく氏子の身体は半分以上黒い粘膜に覆われている。後退り、洸太君に身を寄せた。


 ——刹那。


 黒い粘液はぐにゃぐにゃと脈動し、哀れな氏子の色の抜け落ちた皮膚を喰い破り、身体の中へと入っていく。老人の弛んだ皮膚は中に入り込んだ粘液で膨張し、縺れたマリオネットのように意味不明に手足を動かしている。


 目を背けたい。でも、目が離せない。身体全体が恐ろしさで凍りつき、動くことができない。


 ぶっぶぶぶぶぶっ


 黄色く淀んだ老人の氏子の目から、一匹、小さな黒い蟲が飛び立った。


 ぶっぶぶぶぶぶっ ぶぶぶっ

 ぶっぶぶぶぶぶっ ぶぶぶっ


 蟲は次から次へと老人の眼球を喰い破って飛び立っていく。気がつけば、壇上には、黒い蟲があちこちに飛びまわっていた。


「い、いやじゃ……死にたく……」喉を手で掻き毟ってもがく氏子の姿が黒い蟲でできたベールの向こうに見える。垂れ下がった皮膚を喰い破り、眼球を喰い破り、蟲はどんどん増えていく。蟲は壇上の氏子達に群がり、崖から落ちた人影のように黒い塊になっている。


 ぶっぶぶぶぶぶぶっ ぶぶぶぶぶぶぶぶっ

 ぶっぶぶぶぶぶぶっ ぶぶぶぶぶぶぶぶっ


「うっ、うぅわぁ」

「む、蟲がきよるぞぉーっ!」


 壇上の下の氏子達も異変に気づき、我先にと出口に向かって走り始めている。黒いマントを着た氏子達が一斉にお堂から出ていく。走りにくいのか暑いのか、所々裸の姿も見えた。


「紗千香さん、僕たちもっ」洸太君が私の腕を引っ張る。でも、足が動かない。あの蟲の中に、山倉のおじさんがまだ——


「さっちゃん……」


 山倉のおじさんの声が聞こえた気がした。その刹那。洸太君に掴まれた腕を振り解き、洸太君の顔を見た。


「山倉のおじさんが、山倉のおじさんがまだ、あの蟲の中にいるのっ」

「でも、もう行かないと、俺たちも蟲に、ほらっ——」


「え?」と、洸太君が言葉を止め、辺りに視線を動かした。ハッとして、私も同じように視線を動かす。


「蟲が、蟲が、私達の周りだけ、いない……」


 お守りだ。おばあちゃんからもらった蟲避けのお守りのおかげだ。ポケットの中からお守りを急いで取り出して、洸太君に見せる。


「これ、おばあちゃんからもらった蟲避けのお守りなのっ」

「むしよけの、お守り?」

「そう、中身は多分『浜なみ』に敷き詰めてあったあの砂だと思う。これを持っていれば、蟲は寄ってこない。だから、お願い。山倉のおじさんのところに行かせてっ。おばあちゃんの大事な人、私の、私の大好きなプリンアラモードのおじさんなのっ!」

「でも、美蝶子ちゃんを——」


「あぁ……」そうだったと思い出す。美蝶子ちゃんはこの奥にまだいるはずだ。


「でも、確かに」洸太君が私の頭を撫でる。


「お守りのおかげで、蟲はこっちには来ないっすよね。だから、オッケーっす。俺は美蝶子ちゃんを救出しに行くっすよ。どうせここをまた通ることになるだろうし、ここでまた落ち合いましょう」


「うん……」でも洸太君はお守りを持っていない。


「あぁ、そうかっ! ちょっと待って!」お守袋の封印を解き、中に入っている小さな麻袋を破る。「手を出して」洸太君に言い、大きな掌の上にお守袋の中の砂をさらさらと半分ほど落とした。砂は、思った通り、『浜なみ』に撒かれていた砂と同じだった。


「この砂、どっかポケットに入れて、そしたらきっと——」

「うっす。信じますよ。『浜なみ』に敷き詰めてあった砂の効果を」


「必ず一緒に出ましょうね」洸太君は私を抱きしめ、そっと額に唇を当てた。「絶対に、一緒に」もう一度言い、私の身体から腕を解く。


「では、行ってくるっす」洸太君は言い残し、卑忌様の像の奥へと続く、闇の中へと消えていった。





 


 





 







 


 






 

 

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