最終話  ボクだけLv1

 何やってくれてんの……?

 でもユーセイは、ニコニコ顔で言うんだ。


「お前のゲームな」


「はぁ!?」


「お前、俺に隠れてゲームクリアしてただろ?俺は、Lv37まで落とされたんだぜ

 まあ、その前にお年玉で勇者装備揃えたから、これですんでたんだけどさ」


「お前なぁ!!ボクがコツコツやってたの知ってただろ!?」


「知ってるよ。お前は、帰宅部だから、時間もたくさんあって、ゲームを進められたけど、陽キャの俺は、部活も女の子のデートもしなきゃならない。

 お前とはゲームに費やせる時間が違ったんだ。お前が消えた日に、一緒にゲームやるって行って、家に上げてもらって

 見たらクリアしてやがる!!思わず初期化したね」


 後ろでボクたちの話を聞いていた、お姉さんとおじさんは、青い顔をしてボクに言ってきた。


「おい!!アオ!!サコンダのところに行ったナルはどうなるんだ?」


「さっきの戦いでは、みんなレベルは落ちてなかったよ」


 マーリエお姉さんがホッと肩を撫で下ろしていた。


「大丈夫!!初期化したのは、アオのゲーム機だから。みんなのレベルは、落ちてないはずだよ」


 ユーセイの奴はニッコリ笑って言った。


 やがて、ナルお兄さんが戻ってきた。

 手には、【青輝石】を持って。


【輝石】は、3個集まった。

 パーティーメンバーも、五人揃った。

 残る輝石は二個だ。

 ボクとユーセイの分なんだけど、ボクがLv1じゃあ話が変わってくるよ。


 でも、みんなのレベルもまだ、40くらいだ。ゲームは、中盤に差し掛かった辺り。

 パーティー仲間が、ボクとユーセイなら

 また違った展開になるのだろうか?

 次の【輝石】は【緑輝石】。

 ユーセイは、【緑輝石】を持っていたサコンダに挑んで負けたんだ。

 最後の【紫輝石】は、魔王が持っている。


「レベルは、お前らよりちょっと低いけど、俺がお前らを引っ張って行くぜ!」


 ユーセイは、勇者の装備をしていたから、パーティー仲間に初めから勇者だと認められていた。


「頼りにしてるぜ。勇者」


「ホントよ」

「……てことは、アオ様は……?」


 3人はボクの顔を見た。


「だから、言ったでしょ!!ボクは、勇者じゃないモン!!」



(完)




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ボク、勇者じゃないモン/皇アオの探検日記 月杜円香 @erisax

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