第6話 混沌と混乱
“水珠”の効果は劇的だった。
表面のボタンを押した途端、水がバシャバシャと溢れ出し、吾郎が慌ててカオスの水タンクに運んだ。
結果として、水素発電によって消費される量をわずかに上回る吐出量であることが判明し、三日ほど貯めた後、無事に水循環システムが起動し、水素発電が開始できた。
「とれたて野菜のサラダ、直搾りコーンスープ、生みたて卵の目玉焼き、冷凍ソーセージと焼き立てパン。それと搾りたての牛乳」
いちごが幸せそうな顔で配膳して回り、朝の日課を終えた全員が丸テーブルを囲む。
「いただきます!」と手を合わせ、美味しい食事に舌鼓を打つ。
「このシャキシャキしたレタスが至高」といちごが。
「なんだこのコーンスープ、美味すぎるんだが」とニギルが。
「見てくださいこの黄身の弾力、ずっと眺めていたいですね」と美香が。
「迷宮に豚っているのかな?」とソーセージを頬張りながら葉子が。
「このパンを迷宮で売るってどうかな?」と吾郎が。
そして
「がふっがふっがふっ、くぁああああ、この動物の乳がたまらんなぁ!」と、ぬいぐるみの表面をビッシャビシャにしたバベちゃんが叫ぶ。
「てめえ、なんでシレっと俺たちの
お約束のようなニギルの叫び声が、カオスの塔とバベルの迷宮に響き渡った。
――― 終わり ―――
カオスの塔とバベルの迷宮 K-enterprise @wanmoo
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