第16話 クレーム

ギルドマスターにそっぽをむかれた俺は、総理〇〇に説明することにした。


「ダンジョンの魔物の湧きを最大にするには条件があります」


「でその条件は?」


「そんなことただで教えるわけないでしょう。しかも、損害賠償を求めてやってきた相手に、それにダンジョンの魔物を最大に湧かせてあなたたちに対処できるとは思えないのですが?」


総理〇〇は苦い顔でこちらを睨みつけている。それに対しては俺は知らんぷりだ。


「金なら言い分で渡す、損害賠償もしない。ダンジョンが氾濫した際も君には何も迷惑はかけない」


総理〇〇は悔しそうに頭を下げた。


「口だけでは何とでも言えますよ。【魔法の契約書】スキルを持つ人を連れてきてください。話はそれからです」


「バカな。彼女に依頼するだけで国家予算の半分は消し飛ぶのだぞ」


「それならばこの話はなかったことにしましょう。損害賠償はいくらですか?支払いますよ。面倒くさいですし」


俺は損害賠償で法外な値段を請求されたら裁判所に直行する気でいた。しかし、請求された値段は。


「2億だ。無職の君には支払えないだろう」


「ギルドマスター。一億円分の魔石を販売します」


俺がそういうとギルドマスターは。


「ま、毎度あり」


そして。俺は前回貰った1憶円をそのまま返金した。


総理〇〇は、顔を青くしている。どうせ即金で支払われるなど思っていなかったのだろう。


俺と言えば、これだから人間の相手は嫌なんだ。と思いながら頬杖をついて今後のことを考えている。


そのあとは、意識をもうろうとした総理〇〇を、ギルドマスターが連れて帰った。


俺はネットで何処か静かな場所がないかを調べる。すると、関東内でスタンピートを起こしそうになっている田舎の〇〇県があった。


「この県買い取れないかなぁ」


と1人とんでもないことをつぶやきながらもその県に向かうべく交通手段を探す。


スライムダンジョンへ割いていたステータスが戻った結果、走るのが一番早いことに気付いて結局走って向かうことにした。


俺が付いたとき、ダンジョンはスタンピート寸前だったが【ドッペルゲンガー】の力でごり押ししてスタンピートが起こる前にダンジョンを落ち着かせた。


ちなみにダンジョンのモンスターはビッグビルバグという何のひねりもないダンゴムシを大きくした魔物だ。


攻略法は簡単で力でごり押しすればいい。そのためハンマーをアメリカの武器会社に大量に発注した。


一方その頃。


1億円分の魔石をオークダンジョンの目の前に積み上げられた山から撤去し終わった探索ギルド受付嬢とギルドマスターは、春樹の姿が見えないことに不安を覚えていた。

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世界にダンジョンが出現したらおそらくこうなる るいす @ruis

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