第7話 おっさん、伝説と出会うー4
とある掲示板。
1:名無しの一般人
ここは異世界アナザーの配信者について語るスレです
荒らしはスルー。誹謗中傷禁止、マナー厳守
過度な個人情報は載せないで下さい
次スレ、>>1000
2:新人に驚いたドンパ
よぉ、俺はドンパ。お前らに知らせたいことがあってきた。
なんと異世界の原住民と会話できる加護を手に入れた奴がでた。
3:名無しのドンパファンボーイ
ドンパさんじゃないっすか!
なにそれ、詳しく。
4:新人に驚いたドンパ
大体がアレス神からの戦闘系のスキルだが、どうやらアテナ神からもらったらしい。
5:名無しのドンパファンガール
まじですか? 配信者ID張ってください。
ドンパさんの情報は信頼できるからな。
6:新人に驚いたドンパ
ほい。
→oishi_sinzi@19921011
6:名無しのドンパファンオカマ
やだ♥ 結構ナイスミドル。
でも過去ログだけね、早く配信再開してくれないかしら。
お気に入り登録しとこ。
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新人を潰さないドンパ:よぉ、拡散しといたぜ。まさか龍種の言語まで理解できるとはな。さすが俺が目を付けた新人だ。
名無しのモブ1:ドラゴンと会話してるの? さすがに嘘では?
名無しのモブ2:いや、この状況で食われてないのが何よりの証拠だろ。
名無しのモブ3:まじかよ、これ世界変わる?
名無しのモブ4:これほんとに、今一番望まれている加護では?
名無しのモブ5:約束された成功じゃん。でもこれで特域の恩恵が増えれば日本再生待ったなし。
名無しの歯医者:ちょっと近くに寄ってくれる? もしかしたら何かわかるかも
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俺は見たことない速さで動画視聴者数が伸びている自分の配信画面を見て言葉が出なかった。
ドンパさん、あなたなんて拡散力なんですか。
いや、多分これはシルフィのせいだろう。
誰かがSNSであげて拡散したのかもしれない。
「コメント欄に歯医者さんがいるのか……じゃ、じゃあ……ごめん、シルフィ。ちょっと中に入っていいかな?」
『いいよ、でも痛いから触らないでね……』
「了解!」
そして俺は陸自の司令官らしき人に灯りなんかはないかと聞いてみる。
ならばヘリのライトを使おうということになって、着陸したヘリのライトでシルフィの口の中を照らし出す。
「さっきまで暗かったけど……これはひどいな……」
そこには食べカスや、なんやら。
まぁ完全に不衛生な口の中で、そしてその奥には。
「もしかしてこれって……」
滅茶苦茶デカい真っ黒な歯を発見した。
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新人を潰さないドンパ:あぁ、こりゃ完全に虫歯だな。
名無しの歯医者1:動物は普通は糖の入ったものは食べないんだが……これは虫歯だね。おそらく神経まで到達してる。相当な激痛のはずだ。よく耐えてるよ
名無しの獣医者2:ペットなんかはたまに虫歯になるが人間の食べるものを食べているときだからな……
名無しのモブ:食生活聞いてみたら?
名無しのモブ:滅茶苦茶臭そう……よく入る勇気あるな……閉じられたら死亡じゃん
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コメント欄を見るに、やはりこれは虫歯のようだった。
「シルフィ。最近甘いものって食べたか?」
『甘いもの? うん! ずっと前ね、空飛んでたらでっかい荷物が落ちててね! 多分襲われたんだと思うけど何かなっておりたら、そこにすっごい甘い砂がたくさんあったの!』
「そ、それって白かった?」
『うん! 見たことないぐらい真っ白! それに凄く甘くて美味しかったから一日一袋までって決めてたよ! 結構前に無くなっちゃったけど……』
うん、砂糖だね。
この世界にもあるんだ、というか一日一袋も砂糖食べてよく生きてるな。
さすが龍種、しかし虫歯には勝てなかったか。
結構前といっているが、御年いくつかすらわからないシルフィのちょっと前は何年前かもわからない。
「一応聞くけど、歯磨きはしなかったんだな?」
『なにそれ』
「歯磨きを知らない? お母さんかお父さんは?」
『いないよ……ずっと前に死んじゃった……まだ私が飛び始めた頃かな……』
「そうか……ごめん」
どうやらシルフィの両親は死んでいるらしい。
長寿の龍とはいえ寿命はあるのだろうか、その辺はわからないがまだ飛ぶ前ということは歯磨きも教えてもらわずにシルフィはずっと一人だったんだろうか。
年齢的にはずっと上だと思うが、俺はシルフィがどうしても幼い子供にしか見えなかった。
話してみると、まだまだ拙い言葉をしゃべる幼女、それこそ一花のような。
それが両親もおらずずっと一人。
俺は何とか彼女の力になりたいと思った、少しだけ娘に重ねていた部分もあるのかもしれない。
俺は振り返り陸自の司令官へと結果を伝えた。
「えーどうやら……シルフィは虫歯が痛いかったようです」
「む、虫歯!? そんなことで暴れてたのか!?」
「いや、虫歯は放置していると脳まで達して死ぬ病気です。それに素人から見ても相当進行しています。なんとか治療しなくてはいけません」
そして俺はシルフィの方を向く。
「シルフィ、俺と一緒に来てくれるか? そしたらその痛みを直してやれる」
『ほんと!? いく! 直して! もうずっと痛くて痛くて死にそうなの! 直して、シンジ!』
俺は涙目になっているシルフィの頭にゆっくりと手を当てて撫でた。
「大丈夫、絶対に助けるからな……」
すると少し気持ちよさそうにシルフィは目を閉じる。
滅茶苦茶デカいし、かまれたら一瞬で死ぬだろう。
でも俺はその言葉をまるで一花にいうように優しく告げた。
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