第49話 十月二十四日(月)ー2 川野

「おはようさん、昨日はどもども! 楽しかったなあ、またみんなでどっか行こうな」

 ホームルーム開始五分前に、大声をあげながら川野が現れ、席に座った。いつもと変わらぬ、さばさばとした様子だ。よかった。

「おはよう、私も昨日は楽しかった」

「ジョイフル、よかろ? 試験の前はさ、あそこで勉強したりもすんの。テーブル広いけん、ノート広げるのにも便利やし」

「そっか。シートも座り心地良かったよ」

「そうやろ、そうやろ。あ、もちろん、食事もおいしんで」

「うん、今度行ってみる。でも、川野、昨日何かあったの? ちょっと元気なくなかった?」

「はあ? 俺? なにもねえよ? あれ、﨑里ちゃん、もしかして、俺のこと気にしてくれとる? まいったな、照れちゃう。いや、ほんとに何もなかったよ。昨日はせっかく佐藤がみんなに声かけてくれたけんさ、ちょっとヒカエメにして、佐藤に花を持たせてあげただけやわ。俺なりの、優しい気遣いってやつ?」

「あ、そうなの? 川野にも、気遣いなんてできたのね。おなかの具合でも悪いのかなって、ちょっとだけ心配してた」

「あはは、ぜんぜん、大丈夫っす!」


 本当はすぐにでも写真のことを話したかったけれど、みんながいるところで話すのは、なんとなく気が引けた。今日も川野の部活が終わるのを待つのがよさそうだ。

「ねえ、川野、今日部活終わるのって何時?」

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