第43話 十月二十日(木)ー8 何か隠してる

 うちのお父さんも、何かおかしい。何か隠している。高校のころに何かあったんだ。お父さんと小嗣さんのあいだに。お母さんもすっぱりと弓道を止めてしまったところを見ると、何か関係しているのかもしれない。ありきたりな話だけど、お母さんをめぐって争い、お父さんがお母さんを射止めたものの、小嗣さんと気まずくなっちゃったとか? 小嗣さんの弓道について、お父さんは絶賛していた。腕前を認め、敬意を払っていた。でも、小嗣さんについてそれ以外のことは一切語ってくれなかった。強烈なわだかまりがあるようだった。尊敬しつつ、同時に忌み嫌うって、どういうことだろう? そうだ、昔のアルバムとか、文集とか、何か手がかりになりそうなものが残っていないだろうか? 週末にでも、おばあちゃんに聞いてみよう。

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