第35話 十月十九日(水) お昼休みに
「裕佳っち、最近元気なくない?」
チョコデニッシュをちぎりながら、美羽ちゃんが言った。
「うんうん。さっきの数学な、当てられて答えられん裕佳子ちゃんなんち、初めて見た」
タコさんウインナーをフォークに突き刺して黒木ちゃんも言う。
「ちょっと、考えごと、してたから……」
私はワカメとシャケのおむすびを食べながら、そう答えるしかなかった。美羽ちゃんは真顔になって私の顔をのぞきこんだ。黒木ちゃんも食べる手を止めてこちらを見つめている。
「なあ、大丈夫? 体調悪いんやないん? 最近、天気もよくないしさあ」
「ありがとう、大丈夫だよ」
ふたりが本気で心配してくれていることに少し後ろめたい気持ちになり、できるだけ明るい表情で笑って見せた。
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