第34話 十月十八日(火) “袴の彼”ー7
毎朝、“袴の彼”の姿を見ているうちに、私の好奇心に揺らぎが生じた。本当は、知らないほうが良いんじゃないだろうか? このまま、何も詮索せずに彼を見守っているのが、私にとっても、彼にとっても幸せなことじゃないのかしら? この、かけがえのない早朝のルーティーンが、望んでもいなかった情報と引き換えに、失われるかもしれない。そんなリスクを敢えて犯す必要なんてあるのだろうか?
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