第8話 ご飯はほっかり、肝はひんやり

 大学生活において…………いや、小学生の時から俺の学校に通う目的はただ1つ。それは義務教育までは無料で頂くことが出来たが、高校からは自分のお金を払ってちゃんと購入しないといけない物である。恐らくだが、この時間を楽しみにしている人はツンデレの女の子が好きな人くらいの割合でいるだろう。もう言わなくても魂の底から俺の言いたいことを知覚していると思う。そして、今俺は新しくできた友達のなるちゃん(男)と一緒に食堂でご飯を食べながら雑談しているところだった。なるちゃんは先ほどの授業で知り合ったばかりなので、まだどのような性格なのかはわからないが、ファーストコンタクトは優しい人だけど、授業に堂々と授業まるまる遅刻してくる猛者であった。そんな猛者のなるちゃんがニコニコした笑顔で柔らかに話しかけてくる。


 「ごめん、さっきの社会科の授業のレポート見してほしい。」


 こればっかりは仕方がない、何せ社会の授業は授業の始まりと同時に先生のパワーポイントが設定上見られなくなるからだ。理由は「授業に余裕を持ってほしいから」だそうです。そんなことを言ったら、ヒーロー学園の生徒は誰も授業に参加することが出来なくなるじゃん、と思っているのは俺だけではないはずだ。と、話が逸れてしまったが、なるちゃんにプリントを渡さないといけない。と思いカバンからプリントを取り出して、「どうぞ!」という一言を添えて渡すと、なるちゃんが返答する。


「ありがとう!あっ、板垣退助の授業だったんだ!じゃあ、 って言えばよかったわ」


 いえ、言わなくて結構です。なんで初対面なのにそんなスライダーのような変化球から投げちゃうわけ?俺はそういうのことをする人に好感を持てるけど、普通の人ならドン引きだよ!仕方がない俺のとっておきの返答を見せてやるか。


「それなら俺は って答えてたね」


 俺はこの上ないくらいに完璧な回答をしたことを理解したし、そんな面白い回答ができることに酔っていたのかもしれない。なるちゃんの反応は予想外なものとなった。


「わあ、面白いね。歴史上の偉人で掛けたんだね!確かに瞬時に完成させた回答の中では良くできた方だと言わざる負えない。それに織田のところを注文という意味のあるオーダーと書けている場所は特に工夫されていて素晴らしいね」


 ボケを解説されるという、ボケた側からしたら一番されたくないやつ~~。これは自転車のサドルをブロッコリーに変えられる次くらいにされたくないと言えば、今開いている俺の心の穴の大きさがおそらく把握できることだろう。そういう時は嘘でも笑うだけでいいから!それにしても俺と一番相性が悪い相手かもしれない。挨拶をするかのようにボケ続けるアホVSセールストークをするかのように解説するナル。しかし、こういう相手を笑わせてこその俺という生き物だ、絶対に爆笑取るかツッコミを入れさせてやるぜ。と、勢いよくスタートダッシュをしようとするも、彼の解説は終わってなかったらしい。


「ちなみに、僕は歴史について少しばかり詳しいから、言わせてもらいたい。確かに板垣退助は幕府を討伐して平民も選挙に参加できるように自由民権運動を開始し、いかにも平民のために行動を起こした人物のように書かれているけど、実際は幕府の賛成派からスタートしたけど、自分に都合が悪くなって路線を切り替えただけだから。勘違いしないでよね」


 なんで急にツンデレみたいなこと言い出しているの?あと、俺一語も板垣退助がいい奴だなんて言ってないのに、なんで怒られているの。話の後半になるにつれてヒートアップしていき、終いにはテーブルに手を付けて立ち上がるなるちゃんにそう言わざる負えなかった。あと、もう1つ言わせて頂きたいが、目立つのは好きだけど、こういう悪目立ちするのはあまり好みではないから早く座ってほしい。しかし、彼は俺の心を読むことのできる超能力者ではないので、なるちゃんは立った状態で話を続ける。


「最近の小学生の授業は歴史上の人物のかっこいい部分しか書かれていないから、小さい子の教育に良くないんだよ。もっと人間らしく行動している部分も見せていかないと、失敗を恥ずかしいものと勘違いしてしまうからね。失敗はすればするほど己の力が洗練されるものだということも教えて欲しいものだね」


 非常に素晴らしい話をありがとう。でも、ここは君の演説を聞くために集まった人達で賑わっているわけではないから、プレゼンテーションに自信がある人のような手でも訴えかける感じを辞めて欲しい。あと、失敗を恐れてなさすぎるよ!現在進行形で黒歴史を製造していますけど?ほんとに後悔しないのか?もし、なるちゃんが後悔してなくとも、今俺は君と同じ席で食べていることを後悔しているよ!俺の負けでいいからここを立ち去りたい。


「なるちゃんごめん、お手洗いにいってもいい」


 これでほとぼりが冷めるまで、トイレに行くふりをして隠れていたらいいと思い、なるちゃんに質問したのだが、なるちゃんは俺にスタンディングモードのまま指を指して告げる。


「そこ、質問があるなら挙手をしてからだ。安っぽい内容は周りに迷惑を掛けるから絶対にするなよ」


「すみません、何もありません」


 口調が体育の教師みたいになってし、完全に自分の世界に入り込んでしまった。ここはなるちゃんの演説会場だったのか?いや、食堂だぞここ、この状況下でよくそんなことを言えたものだ。周りに迷惑を掛けているのはなるちゃんだというのに、なんか俺が悪いみたいな雰囲気になってるんですけど?周りから見られていることが良くわかる。俺のボケをも超越している狂気に立ち向かう術がなく、爆笑を取るかツッコミを入れさせようとしていた過去が懐かしい。そして、なるちゃんに演説も終盤に差し掛かる。


「結局わたくしめの言いたかったことは、質の高い歴史を学ぶなら、周囲の環境やその周りの人々の考えを比較しながら、その主人公がなぜそのような行動に至ったのかをしっかりと考えることが大切なのだ。ご清聴ありがとうございました」


 一人称からして完全に自分に酔っているなこれは、それにご清聴ありがとうございましたは独り言に使っていい代物ではない。なんだよこれ周囲の人たちもドン引きしているだろ。と怖くて周りすらも見ることのできない俺に周囲からの声が聞こえてくる。


「サイコー!」


「確信をついている」


「これは学校の授業が革命を起こす時だ!」


 周囲に百人くらいの大学生もとい、なるちゃんの観客は座っていた人も一斉にスタンディングオベーションをし始める。確かに内容的には良いことは言っていたけど、行動的には道徳が足りないはずなのに、この一生に一度の一大イベントでもあるかのような盛り上がり方はなに?もしかしてみんな逆に俺のことを馬鹿にしてる?そんな周囲の反応を理解できない俺に一応人間味は持っているらしいなるちゃんが聞いてくる。


「どうだ、すごいだろ!思いを込めれば人の心は動かせるのだ!」


 そんな、なるちゃんに自分は高校生にもなっても靴ひもを結びきらない友達を見るかのように呆れた顔で本音をぶつける。


「こんなことで、人を動かせるのは世もだな…………」


「歴史の人物でカウンター入れんてくんなよ」


 そこで大爆笑するなるちゃん。もう何がツボに入ったの訳が分からない。初めっからそうツッコむだけで俺との会話は完結していたはずなのに…………。


 確かに爆笑取ることもツッコミを入れさせることもできたけど、なんか納得がいかない俺だった。


 


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 自分なんかの作品を読んでいただきありがとうございます。この作品は自分のガチの日常を誇張して作ったものなので、更新頻度が遅くなることをご了承ください。そして更新までにかなりの時間を要したこと申し訳なく思います。まあ、そんな楽しみにしていないと思っている方がいれば、私は月に帰るときのかぐや姫くらいギャン泣きしますね。ですが、その間に「目隠しとたい焼き」という自分にしては珍しく真面目に書いたストーリーがありますので、読んでいただけると幸いです。


 ここからは雑談になります。最近学食でよくハンバーグを食べるのですが、和風や照り焼きなどの数多く種類がある中で、自分はデミグラスしか食べたことがないです。ハンバーグに他の味があることを知ってのはつい最近で、これはチョコを焼くと美味しくなるような空前絶後の大発見となりました。一体どうやって道を踏み外したらこうなるか聞いてみたいものですが、デミグラスの味だけでなく新しい味にも挑戦してみたいと思うので、みなさんのおすすめの味などを教えてください?できれば食べてみたいのでご紹介よろしくお願いします。


 















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