　竹格子枠に、植物有機曲線（アールヌーヴォー）の硝子窓（ステンドグラス）。採光は、落雷の金以外意味が無い。泥のように眠って、眠って、起きても『夜雨（よさめ）』は続くから。湯気曇る窓に、指先で『二』を引けば雫が歪む尾を引いた。

　あれから二手は進んだ。後継の僕が【陰（いん）ノ王禽（おおとり）】と成った今、鵬美（トモミ）が空に消えた真実は【陰ノ駒】達に明かされた。だが未熟な僕は、鏡鶉（ミシュン）の気がかり通り『影の王』である鷹子（ヨウコ）の傀儡（かいらい）から抜け出せないまま。このままでは駄目だ。『空を滅し、鵬美（トモミ）を取り戻す』という鷹子（ヨウコ）との目的は一致するが、彼女が告げた最（・）小（・）限（・）の（・）犠（・）牲（・）者（・）とは〖陽（てき）〗の王である鵬飛（ユキト）だから。

　僕の願いを叶えるには、最後は鵬飛（ユキト）に（・）空（・）を（・）殺（・）さ（・）せ（・）な（・）い（・）と（・）い（・）け（・）な（・）い（・）。その為には鷹子（ヨウコ）では無く、僕自身に忠誠を誓ってくれる駒が必要だ。

「湯冷めするけど、鵼（ヌエ）。そろそろ湯船から上がれば？」

　振り返れば、ふかふかのタオルを持ったまま待機している『世話役』の……鏡鶉（ミシュン）……とまたドキリと見間違えてしまったが、双子の妹である彼女は【陰（いん）ノ左鶉（ひだりうずら）】である。ぴょこんと触覚モドキの冠羽（かんう）も、黄茶色のふわふわボブも、両耳の桃の花も同じだが……黄水晶（シトリン）のツリ目と、左腕と合着した巨大な左翼だけが違う。黄色矢絣（やがすり）着物に、白練（しろねり）色のロングエプロンも。

「ねぇ、留鶉（ルジュン）。鷹子（ヨウコ）の嫌いなモノって知ってる？」

　『影の王』の弱点でも探ってみるか……と潤んだ上目遣いを送れば、何故か留鶉（ルジュン）は目が泳ぐ。うん、面白い。

「何よ急に……。『裏（・）切（・）り（・）者（・）』と『男（・）』じゃないの？なんであんな潔癖で、誉鷹（シゲタカ）っていう人の許嫁（いいなづけ）になったのか知らないけど。敬愛する鵬美（トモミ）様に仲人（なこうど）でもされたのかしらね」

「そ（・）れ（・）だよ、留鶉（ルジュン）！〖陽ノ駒〗の裏切り者が、【陰ノ城（ここ）】に居るはずだ！」

　ザッバーン！！と水飛沫を上げて立ち上がれば、一瞬固まった留鶉（ルジュン）は悲鳴を上げてタオルを落とす！

「キャァアアッ！！う、後ろを向きなさいよ、いつも通りに！！」

「中性（ぼく）の身体には恥じるようなモノは、なにも……」　

「そういう問題じゃないの！だって……」

　天（☼）使（☼）みたいなんだもの……と赤らめた可憐な顏（かんばせ）を左翼から覗かせ、結局僕を一瞥（いちべつ）するツンデレ少女に小首を傾げた。彼女と同じく翼はあるが、僕も禽（トリ）である。

「ここここ今度、前を向いたら許さないんだから！」

「ごめんって。それで……地（・）下（・）牢（・）って何処？」

　湯船から上がった僕におっかなびっくり着物を着せるのを終えれば、ぷんすかと怒（いか）れる留鶉（ルジュン）は油燈（カンテラ）を手に、素直な案内役になる。彼女は、畳下の隠し階段へと誘（いざな）う。

「忘れないで。留鶉（わたし）が鵼（ヌエ）に従うのは、私の片翼の鏡鶉（ミシュン）を殺した〖陽（よう）ノ鵬（ほう）〗に復讐する為。王手を打つのは、この私よ」

　鋭い黄水晶（シトリン）の瞳に射抜かれ、僕は頷（・）く（・）。留鶉（ルジュン）の願いを叶える事は出来ないが、手駒としてギリギリまで期待させなくては。もう僕は、大切な人達の生命（いのち）を失う訳にはいかない。その点、裏切り者（かれ）は捨て駒にだって出来る。同情は命取りだ。

「鷹子（ヨウコ）が毛嫌いする俺の前にお出ましとは……新しいオウサマとは気が合いそうだなァ」　

　暗く穢れた檻と、端が破れた粗末な朱殷（しゅあん）色の着物は『影の王』が彼を呪う証か。白銀だったはずの荒々しい短髪も翼もくすみ、白鼠（しろねず）色。翼先の黒と、両頬の三本緋の刺青……そして、飢えた獣のように爛々と底光りする、柘榴石（ガーネット）の狼眼（ろうがん）だけが異常に鮮やかだ。

「【陰（いん）ノ雄鶴（おづる）】、鶴麻（タヅマ）だ。弟の弓鶴（ユヅル）から聞いてんだろォ？『袖黒鶴（ソデグロヅル）の一族』が伝承してきた『鵺（バケモノ）』を。俺は歓迎するぜ、空を爽快に喰らう鵼（おまえ）を！生命（いのち）削り合う、最高の惨劇を魅せてやる！」

　ヒュゥ……ゼェゼェ……と荒い息をつき、両手を広げ天を仰ぐこの男。肺では無く、頭の病気なんじゃないかという言葉を、僕は作り笑いで呑み込んだ。

「それは嬉しいナ。羅鶴（ラカク）も同じ一族なの？」

「無知でカワイイあの女は、『丹頂鶴（タンチョウヅル）の一族』だ！早くはやくハヤク誉鷹（シゲタカ）を狩らせろッ！俺はッ！羅鶴（ラカク）に、鷹子（ヨウコ）に、誉鷹（シゲタカ）に、真っ黯（くろ）な贈物（ぞうもつ）を送りたいんだァッ！悦ぶ顔は絶頂必至ィ！」

「お話にならないわね。……鵼（ヌエ）、鶴麻（こいつ）を本当に放つつもり？」

　胡乱に振り返る留鶉（ルジュン）に思わず溜息を返すが、頷いた僕の答えは決まっている。鉄格子の隙間から、鶴麻（タヅマ）の胸倉を掴む！囁き声を、留鶉（ルジュン）に聞かれる訳にはいかない。

「解放してやるのには条件がある。僕だけに従え。そして、無駄な殺生はするな。王手を打つのは許さない」　

「顔（ツラ）と同じく、お綺麗なことで。鵬飛（ユキト）と誉鷹（シゲタカ）……どっちが大事なんだァ？」　

「……鵬飛（ユキト）に手を出したら、鶴麻（おまえ）を空ごと喰らってやる」

　残酷な一瞬の逡巡。僕自身が恐れる漆黒の虎眼（まなこ）で無情に見つめてやれば、『虚空』を垣間見た鶴麻（タヅマ）は狼眼（ろうがん）を見開く。……恐怖は感じるんだな。

「冗談だ！仰せのままに、オウサマ。ハナから誉鷹（シゲタカ）にしか興味ねぇ。噂をしたから……俺を殺しかけた、おっかねぇ女が来ちまったじゃねぇかァ」

　怯えか悦びか判別不可能な笑いに震える鶴麻（タヅマ）を離して振り返れば、赤白橡（あかしろつるばみ）色の長髪を覇気で靡かせる鷹子（ヨウコ）。金の鷹眼（ようがん）で僕を一瞥し、鶴麻（タヅマ）を睨（ね）め付ける。十二単（じゅうにひとえ）の袖からしなやかに現（あらわ）す白魚の手には、刃渡り四尺の大薙刀（おおなぎなた）。

「王禽たる御身を穢してはなりません、鵼（ヌエ）様。鶴麻（ケガレ）を絶ち、禊ぎ祓いを致しましょう」

「もう勝手は困るよ、鷹子（ヨウコ）。僕は鶴麻（タヅマ）を必要としてるんだから」

　睨み合う僕らを割くように、突如疾風が舞い降りる！現れた少女は敬礼＆ウィンク☆した。ん？赤リボンの彼女は翠玉（エメラルド）の瞳だったか？

「ヤッホー♡ みんな大好き粆燕（サエン）ちゃんからの、偵察速報だよ☆ 〖陽（よう）ノ鷹（たか）〗と〖陽（よう）ノ鶴（つる）〗を筆頭に、二手に分かれて【陰ノ城】に責めてくるみたい、鵼（ヌエ）くん！」

　鵬飛（ユキト）は、懐刀（ふところがたな）達で早々に決着をつけるつもりか！鷹子（ヨウコ）が視線を離した隙に、僕は金に輝く虎翼を広げる！雷（いかづち）で、狂禽（きょうきん）封印されし檻を破壊した！

「上等だ。約束通りに僕を楽しませろ、鶴麻（タヅマ）！」

「最高に御意だァッ！オウサマァ！」　

✼••┈☗2三雄鶴┈••✼　　

　雨夜晴れ、【陰ノ戦場】に月光冠（げっこうかん）が生誕する。解放の風鳴りに狂喜し墜ちる雄鶴は、墨流しの如き水鏡の大地に突っ込んだ！月光透かす水飛沫が示すは、滞空飛行（ホバリング）する二人の少年の輪郭（シルエット）。悦びに白月仰ぐ鶴麻（タヅマ）の左手には、深き凸凹の牙並ぶ鐵（くろがね）の短剣（ソードブレイカー）。

「娑婆（シャバ）よ、ご機嫌麗しゅう！爽快な苦痛（メシ）を頭の碗に注いでくれェヤッ！餓鬼（ガキ）共！」

　常磐緑（ときわみどり）色の総髪（ポニーテール）靡かせる雉明（チアキ）と、青玉（サファイア）の棗眼細めた粮燕（ロウエン）は、眼下の鶴麻（タヅマ）を嘲笑う。

「茶漬けを奢るのは雉明（おれ）たちじゃない」

「んぁ？誉鷹（シゲタカ）は重役出勤ってかァ？」

「正解です。鶴麻（あなた）の戦術（やりくち）には、〖陽ノ少年駒（われら）〗が三銃士の一人、地（・）を（・）駆（・）け（・）る（・）馬（・）鹿（・）がピッタリ！」

　満面の笑み浮かべた粮燕（ロウエン）が細剣（レイピア）で水平線を示せば、水鏡を海峡のように割く地（・）鳴（・）り（・）が到来する！

攻〖陽（よう）ノ右鶉（みぎうずら）〗┈☖2三右鶉┈【陰（いん）ノ雄鶴（おづる）】防

「俺は【陰ノ鶉】のように、器用じゃない！！飛ぶのがヘッタクッソだ！！故に！！大地を駆けて突撃する！！」

　ぴょこんとした冠羽をブンブン揺らし、柿茶色の茸髪（マッシュヘア）の鶉少年は無（・）表（・）情（・）で現（あらわ）る！！刃生やす強靭な脚と硬質な右翼は、丸鋸（マルノコ）の如き旋風脚（せんぷうきゃく）で襲い来る！！黄水晶（シトリン）の団栗眼（どんぐりまなこ）が、超回転の軌跡を引く！！

「相変わらず工事現場監督並に、爆音声量だなァッ！鶉壱（ダンイチ）！」

「あ（・）り（・）が（・）と（・）う（・）鶴麻（タヅマ）っ！！それほどでも……ある！？」

　手応えの無さに瞠目した鶉壱（ダンイチ）は、死角からの殺気に凍りつく！水鏡スレスレに映る、赫赫（かくかく）たる狼眼（ろうがん）！飢えた狂禽（きょうきん）は、舌舐（したなめず）りした。低く両手をついた鶴麻（タヅマ）は、地からエグるような飛び蹴りを喰らわす！

「空（・）回（・）り（・）だ、馬鹿がァッ！〖陽ノ城（す）〗に帰れェッ！」

　鶉壱（ダンイチ）の顎に炸裂HIT！綺麗に弧を描き夜空にぶっ飛ぶ！受け身を取って着（・）水（・）したはずの鶉壱（ダンイチ）は、くるりと鶴麻（タヅマ）に背（・）を（・）向（・）け（・）た（・）！水平線へと地鳴りつれて爆走を開始する！！

「助（・）言（・）あ（・）り（・）が（・）と（・）う（・）！！今すぐ帰って猛修行だっ！！」

　だが水鏡割く爆走は、突然ピタリと静止する。白目を向いた鶉壱（ダンイチ）は、脳震盪でパタリとぶっ倒れた。スイッチは切れたのだ。

負〖陽（よう）ノ右鶉（みぎうずら）〗┈☖2七右鶉┈【陰（いん）ノ雄鶴（おづる）】勝

　•┈敗北者:〖陽（よう）ノ右鶉（みぎうずら）〗、『一手無効』┈•

「鶉壱（あいつ）鼻血出てなかったか、粮燕（ロウエン）？」

「戦術（やりくち）封じ失敗、やっぱ馬鹿でした」　

「高みの見物料はその身で支払え、餓鬼（ガキ）共ッ！」

　嗤う鶴麻（タヅマ）は異常な腕力で、昇天中の鶉壱（ダンイチ）を悪餓鬼（ワルガキ）二人にぶ（・）ん（・）投（・）げ（・）る（・）！飛べない鶉は空を飛ぶ夢の中。

「ちょっとおぉっ、サッと逃げないで雉明（チアキ）！起きてください、鶉壱（ダンイチ）！」

　反射的に仲間をキャッチ！ハズレくじを引いたのは、人柄の良い粮燕（ロウエン）。肌粟立たせる背後の気配へと反射的に細剣（レイピア）を差し向ければ、獲物（ロウエン）を捉えた柘榴石（ガーネット）の狼眼（ろうがん）が細まる！

「残念だったなァ、粮燕（ロウエン）。剣（・）を（・）持（・）た（・）な（・）い（・）鶉壱（ダンイチ）が役立たずで！」

「……マジですか」

　引き攣った笑いを返す粮燕（ロウエン）の細剣（レイピア）は、鐵（くろがね）の短剣（ソードブレイカー）の凹凸の牙により、斜めに絡（・）め（・）取（・）ら（・）れ（・）て（・）い（・）た（・）。鶴麻（タヅマ）は、わざとらしい事（・）故（・）に瞠目する。

「『あっ！』鶴麻（オレ）の剣に異物が！塵芥（ゴミ）は廃棄処分だよなァッ！？」　

　嫌な音を軋ませる細剣（レイピア）に、飢えた鶴麻（タヅマ）は悦んで喰（・）ら（・）い（・）つ（・）い（・）た（・）！青ざめた粮燕（ロウエン）の悲鳴虚しく……破断音が高らかに響く！見事にへし折られた剣先は、嘲笑う狂禽（キョウキン）に銜（くわ）えられた。　

　鶴麻（タヅマ）が口から離せば、剣先は眼下に墜ちる。彼（・）ら（・）を映す水鏡を、波紋で乱して突き刺さった！

✼攻【陰（いん）ノ雄燕（おつばめ）】•┈☗4五燕┈•〖陽（よう）ノ鷹（たか）〗防✼

「〖陽（よう）ノ鵬（ほう）〗の懐刀（ふところがたな）を殺（や）れば、成り上がりも容易だな！」

「誉鷹（おれ）を通してください……と言っても、無駄なのでしょうね。気が進みませんが、鵬飛（ユキト）の命（めい）通りに【陰ノ城】まで突撃します！」

　優男の鷹翼と太刀（たち）は翻る。刹那。月光冠（げっこうかん）纏う白月すら、鮮やかな三連の斬撃で輪郭を分断される。裏切り者の燕少年は峰打ちに舞い上げられ、瞼を閉じた。

　鷹が飛び立てば、水面に波紋は残らない。誉鷹（シゲタカ）の赤白橡（あかしろつるばみ）色の柔い短髪（エアリーショート）は、刃風（はかぜ）にそよぐ。

　願い星のように金に閃いた鷹眼は、長い睫毛に憂いを透かす伽羅（きゃら）色の穏やかな瞳へと戻る。納刀すら、静謐（せいひつ）に。

「裏（・）切（・）り（・）続けなさい。それが君の生きる道です」

✼負【陰（いん）ノ雄燕（おつばめ）】•┈☗4四燕┈•〖陽（よう）ノ鷹（たか）〗勝✼

　•┈敗北者:【陰（いん）ノ雄燕（おつばめ）】、『一手無効』┈•

✼••┈☖3四鷹┈••✼

　月光冠（げっこうかん）を見上げた誉鷹（シゲタカ）は旧（・）友（・）に気づくと、ふわりと微笑した。

「良（・）か（・）っ（・）た（・）。生きていたのか、鶴麻（タヅマ）。鷹子（ヨウコ）は、お前を羅鶴（ラカク）と会わせる事を嫌うだろうに……地下牢から出ることをよく許されたな」

　待ち人と相対したはずの鶴麻（タヅマ）は赫赫（かくかく）たる眼光細め、悦びの笑みを硬質に解く。

「オウサマの慈悲と誉鷹（おまえ）のお陰だ。今すぐ『死の苦痛』を翫味（がんみ）させて殺（ヤ）りてェ……と言いたいところだが」

　ひっそりと仲間を抱え〖陽ノ地〗へ向かうはずだった、夜空羽ばたく燕少年は、狂禽（きょうきん）の急襲に悲鳴を上げる！

「鶴麻（タヅマ）！？何で粮燕（ボク）に掴まるんですか！？定員オーバーですよっ！」

「ヒュゥ……ゼェ……最悪ッ、肺の薬（ヤク）切れだッ。【陰ノ城】の手前まで、滑翔（グライディング）で送りやがれッ！鶉壱（にもつ）は捨てろッ！」

　ハイジャック犯よろしく鶴麻（タヅマ）は短剣（ソードブレイカー）の切先（ポイント）で、顏（かんばせ）引き攣らせた粮燕（ロウエン）を脅す。鶴麻（タヅマ）に蹴り落とされた眠る鶉壱（ダンイチ）は、瞠目する誉鷹（シゲタカ）にキャッチされた。

「待ってください、鶴麻（タヅマ）！誉鷹（おれ）も【陰ノ城】に行かねばならないんだ！」

✼••┈☗2二雄鶴┈••✼

✼••┈☖2三鷹┈••✼

✼••┈☗1一雄鶴┈••✼

「まぁ、ここは誉鷹（シゲタカ）に加勢して、鶴麻（タヅマ）を追い詰めるのが得策だろうな」

✼••┈☖1二雉┈••✼

　【陰ノ城】へと飛翔する彼らを追おうとした雉明（チアキ）は、尖晶石（レッドスピネル）の火輪眼（かりんがん）を背（・）後（・）の（・）気（・）配（・）に見開く！常磐緑（ときわみどり）色の総髪（ポニーテール）を翻し、朱（あか）い火花散らす柳葉刀（りゅうようとう）を差し向けた！刀構える右手に結ばれるは、亡き想い人である姉……雉花（チカ）の朱（あか）い組紐。