最終回 自分の本当の顔

その日は、雲一つない晴れた日だった。


高層ビルの窓から自由を求めて飛び出した「醜 歩太郎」の身体(遺体)は、結局、いつまでも見つからなかった。それに付き添うように手を差し伸べた「美崎愛」も一緒に、澄み切った青い空に舞って、消えた。


その一連の流れを見ていた真のイケメンこと「池 免太郎」は、急いで警察と救急車を自分で呼び出したものの、ビルから飛び降り自殺した死体がいつまでも見つからず、いたずら電話をした張本人として、警察に逮捕されそうになったが、親が頭を下げてくれて、なんとか、それだけは免れることになった。

「・・・・まったく・・・ごめんなさいね・・ホラ・・あんたも・・・」

「・・すいませんでした!」

免太郎は、警察や消防隊員になんども頭を下げていた。

「最近は、いたずら電話にも罰則を強化しているんですよ。そういう人間がいるから・・」

「・・・ですよねぇ」

「こらっ!反省してない」

何度も駆け付けた母親に殴られる免太郎。

「暴力反対!」

「ちょっとくらいいいだろ!」

「顔はやめて!」

おもわず手を上げて抵抗する免太郎。

「・・・本気で言ってる・・・?」

母親が免太郎の顔を覗き込む。

「・・・・・・・・」

「・・・・・・・・」

「よし・・・」

「何がよしなの?」

「ちゃんと・・・似てる・・・」

「えっ・・?」

思わず声を上げる免太郎。

「よかった・・・あんたは・・・わたしたちの子供だ・・・」

免太郎の肩を叩く母親。その顔は、ずっと笑顔だった。

「えっ・・・だって・・俺・・・顔は整形だって・・・」

「ああ・・・アレ・・・」

「・・・・・・・・・・・・」

「ウソに決まってるじゃん」

「えっ!?」

今まで自分の子供に嘘をついていたことを悪びれもなく言う母親に、あきれる免太郎だった。

「・・・ちゃんと・・ブサイクだよ・・・あんたは・・」

「ちょっと!」

「でも・・・・かっこいいよ・・・イケメンだ・・パパに似て・・・」

「えっ、結局、どっち!?」


「つまり・・あんたは、誰よりもブサイクで・・


世界一のイケメンだってこと


それでいいじゃん。がんばれ


キモ・イケ免太郎」

「新しいジャンル、作るなよ!」


今日も、みんな、変わらず、イケメンだったり、可愛かったり、美人だったり


自分の素のまま


いろんな顔で、


生きている


おわり



。。。。。。。


って・・・


ちょっと待って


性格良夫とか白雪(みゆき)はどうなった?


う~ん


それは、また別のお話


おしまい


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イケメンが不細工に転生したら、人生ハードモードじゃなかった件 三上 真一 @ark2982

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