第2話 ビー🐝


退院した後も、

どうしても学校へ行く気がしなくて

一日中ゲームばかりする毎日に戻ってしまった。


そんなある日、

1人子ども部屋で任◯堂の『ゼル◯の伝説』を人気ゲーム機で楽しんでいると、

どこからか聞き覚えのある声がしてきた。


「まさと。起きてるか?学校行かないなら、俺もそのゲームとやら、やってみたいな」


!?


ベランダに目をやると、れいの少年が空中に浮かんでいた。


赤い眼球で、紫色の髪をしている。肌は濃い茶色。


シャボリと名乗る、謎めいた少年だ。


(やっぱりアレ、夢じゃなかったんだ!!)


「ねぇ、シャボリ君。あのお薬といい、今、空中浮遊している事といい、教えてもいないのに…ぼくの名前を知っている事といい、君は一体何者なの?」


「一言で言うと、ヴァンパイアだ」


「ヴァンパイア!?」


「ああ、ヴァンパイアだ。だが、安心したまえ。悪いヴァンパイアではないから、君の血を無理やり吸ったりはしない。約束する!!」


「………」


(ヴァンパイアなんて本当にいるわけない!!)


「ヴァンパイアなんて本当にいるわけない、って思ってるだろ?」


「………」


図星すぎて言葉が出なかった。


「まあ、急には信じられんよな。とりあえず、『ゼル◯の伝説』をプレイさせてくれ!!」


「その前に、訊きたい事が山ほどあるんだけど…」


「俺はまさとの命の恩人だ。少しくらい楽しませてくれ。

1時間ゲームをしたら、1時間は気になる質問に答えてやる。

悪くない提案だと思うのだが?」


「分かった。そんなにゲームが好きなら、今すぐ一緒にやろう」


2人がゲームを始めて30分ほど経った頃、小さなミツバチが窓ガラスを通り抜けて入ってきた。


「ご主人様!緊急の連絡です!」


なんと、ミツバチが喋ったのである。


「ミツバチが喋った!?」


「この子はビーって言って、ぼくの使い魔なんだ」


「使い魔?」


「とりあえず、また明日来るね!よく分かんないけど、緊急事態みたいだから」


そう言うと、シャボリとビーは空中浮遊しながら窓ガラスを通り抜け、そのまま空へと飛んでいった。







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