第151話 肉盾二号
「おい、奴隷!
「はぁ~い! クモノス様の敬虔な性奴隷ザリエルが、この忌まわしきブサイクメスゴブリンの頭を捻り切ります!」
「捻りきらなくていい! 生きたまま引っこ抜け!」
「え~? こんな薄汚い下級魔物生かす意味ないですよ~?」
「あ?(スチャッっとクモノス仮面装着)」
「あっ、クモノスさま~ん! 抜きます! 引っこ抜きます! ほんとは触るのも憚られる不潔なゴブ女を、このクモノス様の奴隷ザリエルが丁寧に引っこ抜きますぅ~!」
正体を隠すために天界の雲を引きちぎって作ったクモノス仮面。
初めはこれを着けてないと俺のことを偽りの神「クモノス」だと認識出来なかったザリエルも、今では仮面なしの状態でも俺のことをクモノスだと認識している。
「ひぃぃぃぃ! 来ないで! 汚らしい! 発情した雌豚の匂いがぷんぷんします!」
「ははっ、そりゃお前の鼻は正常だ」
「ちょっとクモノス様! 私はクモノス様だけに対して心も体も許してるだけで、決して誰にでも羽を広げるようなふしだらな女じゃありませんからね!?」
羽を広げるってのはいわば股を開く的な意味だろう。
天使って羽をエロいものとして考えてるっぽい。
変な奴ら。
「なんでもいいから抜け、さっさとな」
「はぁ~い♡」
「いやぁぁぁぁ! 来ないでぇぇぇぇ! 淫売ぃぃぃぃ!」
ゴブ穴、掘り掘り。
抜き抜き。
わんわんわん。
「で、なんなんだお前は?」
ザリエルによって掘り出されたメスゴブリン。
ゴブリンのくせにブリブリなピンクのワンピースを着てる。
なんか豚に真珠、もといゴブに真珠的なネックレスなんかも着けてる。
俺の前でシュンと正座したそいつに向かって再度問う。
「ゴブリンがどうやってここまで来たんだ?」
「クモノス様! もうこいつ殺しちゃいましょう!」
「てめぇが先に殺されたいか? この穴掘りしか能がないアホ天使が」
「なんで私が!? クモノス様? ゴブリンですよゴブリン! この世で最も醜く臭く不潔で忌まわしい呪われた種ですよ!? そんなのがこの美しく清らかな天界に存在してる事自体がイレギュラー! 許されない! 大問題なのです! 今すぐ排除すべきです! 抹殺! 抹殺!」
「黙ってろ!」
「はい!」
ザリエルは口を糸で編み込むジェスチャーをすると俺の隣にシュタッと正座した。近い。ぴとっ。
「えぇい、くっつくな鬱陶しい!」
「いいじゃないですか! くっつきましょうよ! いっそ私と一つになりましょうよ! あ~ん! ゲシゲシしないでくださ~い!」
「うるせぇ! 暑苦しいんじゃ!」
「ひ~ん!」
追いゲシゲシ。
「で、なんなんだ、お前は?」
掘り出されたメスゴブリン。
ブリブリしたピンク色のドレスを着てる。
姿勢もシャンとしててどこか品がある。
顔つきも知性を感じさせ、なんとなく人間っぽい。
スタイルはゴブリンよろしく繁殖特化って感じ。
ゴブリンのオスにモテモテそうな印象。
そのメスゴブリンが俺を顔をジトッとした目で見つめ口を開く。
「……あなたが
「あの? なんか知らんがたしかに俺様はフィード・オファリング……」
「お覚悟!」
「おわっ!?」
メスゴブリンは胸元からヤバそうな雰囲気満点の短刀を取り出すと思いっきり突っ込んできた。
「クモノス様!?」
「大丈夫だ」
俺はメスゴブリンの両手を捻り上げてザリエルに見せる。
「うぅ~……! あなたの、あなたのせいで私の国は……! お父様は……!」
メスゴブリンは俺に吊り下げられたままボロボロと涙をこぼす。
「あ~あ、クモノス様、メスゴブリン泣かせちゃった~」
「るせぇ! 別にいいだろ! こいつ俺に襲いかかってきたんだぞ!」
「うぅ~……父の……国の仇……!」
「クモノス様に危害を加えようとしてんじゃないわよ、このクソ馬鹿メスゴブリン!(ゲシゲシ)」
「だ~! ゲシゲシすんな! 事情はわからんし別に知る気もないがとりあえず
【
名前:グローバ
種族:ゴブリンプリンセス
職業:なし
レベル:6
体力:13
魔力:31
職業特性:
スキル:
あ~、またこれ多いな、情報量。
めんどくさっ。
こういう時はこれだ。
【
グローバの瞳がどろりと濁る。
「グローバ、お前は俺様の奴隷二号だ。いいな?」
「はい……私は我が千年王国を滅ぼしたフィード・オファリング様の従順なる奴隷です……」
千年王国だか万年王国だかも知らんし、別に滅ぼしてもねぇ。
おまけにお前のことなんかも全く知らん。
けどまぁいい。
とりあえずわかってること。
それは、俺が「肉盾二号」をゲットしたってことだ。
「え~、クモノス様~!? 私というものがありながらこんなメスゴブリンを二号に~!? 私の一体なにが不服なんですかぁ~!?」
「全部だ!」
「そんなぁ~! クモノス様ごむたいなぁ~!」
ただでさえ「
ザリエルともどもボロボロになるまで使い倒してやる。
俺が天界を脱出するための踏み台としてな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます