第111話 スナップ
魔界と人間界では、
魔界では、ぬめっとした重たい風。
人間界では、からっとした
『そりゃあ、魔力の影響だな。なんたって魔界はオレ様の美しい魔力に
頭の中に響くサタンの声を無視して
そのちょうど
ボクは、ある
「ドミーっす。入ります」
そう言って、一息置くとドミーは詰め所の扉を開けた。
「ぶべっ!」
ドミーの頭が後ろに
コトッ……。
足元に小さいなにかが転がり落ちた。
(クルミ……?)
「ってててて……。
頭を押さえたドミーが奥に声をかける。
どうやら彼は、ディーのことも「
「さっさと入りな!」
不思議な響きの声が奥から響いてくる。
『おっ、声に魔力を乗せてるな』
サタンが反応する。
(声に魔力? セレアナの『
『いや、スキルじゃねぇな。これは技術で魔力を声に乗せてる感じだ』
(技術で? そんなこと出来るの?)
『普通の人間には出来ねぇんじゃねぇか?
(つまり……中にいるのは普通じゃない人間、ってことだね)
『ああ、気を引き締めてかかれ』
(うん)
先に部屋に入ったドミーが
すると、部屋の中の様子が目に飛び込んできた。
見たこともない複雑な模様のベールが
そのベールの前には
一言で言えば──。
閻魔の
それに、天井に封印されていた
それと比べて、この部屋から受ける印象は──。
ただただ、下品。
けばけばしいだけの悪趣味な部屋。
元々が
それだけに、その不快さが
そして、その部屋の中央。
これまた悪趣味な金ピカの椅子に座った女。
ディーと目が合う。
すかさず鑑定。
【
ボクの右目に、ボクにしか見えない赤い炎が宿る。
名前:ディー
種族:エルフ
職業:娼婦
レベル:28
体力:46
魔力:179
職業特性:【
スキル:【
エルフ……!?
人前に姿を
しかもあの褐色の肌の色は……。
『んあ? ダークエルフか、あれ?』
シュッ──!
神経を張り詰めていたボクの第六感が、反射的にスキルを発動させた。
【
□ ディーの右手からクルミが投げられる。
□ そのクルミが、ボクの額めがけて一直線に飛んでくる。
なるほど。
スキル【
それでクルミを高速発射してたってわけか。
【
パシッ!
額に当たる寸前。
ボクは、そのクルミを右手でキャッチすると。
グッ──!
そのまま右手に力を込めて。
バリッ──!
パラパラ……。
手を開いて
「
「ほう……? こりゃまた、ドミー。あんた、
銀白色の髪の褐色の女。
ディーは
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