風船
通りすがり
公園の誰もいないベンチを
雨が濡らしている
そこに鮮やかな青を見つけて
思わず近づけば
お祭りの名残なのか
空気の抜けた
青い風船の残骸がぽつん
木にでも引っかかっていたのが
落ちてきたのか
割れてしまったので
そのまま置いてけぼりに
されてしまったのか
それは青空の欠片のようにも
涙の粒のようにもみえて
かぜのふね
雨に濡れる風船は
もう二度と
飛べないことを知りながら
きっとその色褪せて土に還るまで
いつまでも
風に乗って高く揺れた時の
空の夢をみている
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