げんざい 🍏

上月くるを

げんざい 🍏





 朝カフェで、ある小説を読んでいたヨウコさん。

 あっ、そっか~、そういうことだったんだね~。

 

 いつまでもむかしのことを引きずっているのは。

 なにを書いてもその翳が滲んでしまうのは……。




 ――自分で自分を許せていない。((((oノ´3`)ノ




 だから、おんぶ 👻 みたいに何十年も前のことが背中から離れてくれないんだ。

 自分でも呆れるけど、それは原罪だから、一生償わなければならない罪だから。


 そう納得したら、かえって気持ちが楽になったみたいで、もうやめにしようと。

 連載でも単発でも執筆のたび過去の疵に触れることに罪悪感を抱くことは……。




      🍞




 モーニングの半トーストに塗られたバターが、きれいな黄金色にかがやいている。

 三角にとがったところをかじると、真っ白な地層がギザギザの断面であらわれる。


 無料という意識も多分に手伝って、いままで気にも留めて来なかった。当たり前に提供されるそれをしごく当たり前に食し、製造者のご苦労を思ったこともなかった。


 むかしの自分の至らなさを責める一方で、現在に対する視線はこのうえなく傲慢。  

 プラマイゼロなら、結局のところなんの進歩もない、やれやれなヨウコさん。💦




      🥛




 丈夫な心身に産んでやれなかった母の原罪意識を承知しているむすめはなにも言わないが、冷静沈着にして篤実なお婿ちゃんがときどき電話で近況を知らせてくれる。


「嘔吐の朝を除き、相当な☆◇痛の日も、がんばって☆◇△パートに通っています。やめさせられるまでやめないと……」ヨウコさん、泣く、泣く、(´;ω;`)ウゥゥ💧


 先年までのほぼ引き籠り状況を思えばゆめのような幸福、なにがあっても変わらず支えつづけてくださっているお婿ちゃん&リガル坊ちゃん、本当にありがとう。🙇


 


      🌹




 そういえば、窓外の花壇の薔薇が、知らぬ間に堅いつぼみをいくつも結んでいる。

 けなげだねえ、かわいいねえ、去年につづく今年も、黙って咲いてくれるんだね。


 あ、だめだめ、またしてもメガネの奥の視界が滲んで……。(*_*;

 向かいのタイ料理店のスタッフがシャッターを開け始めた。('ω')


 すべての働く人たちの今日が、小さなよろこびに包まれたものでありますように。

 じゃあ、明朝またね……おんぶ 👻 を背負ったまま(笑)ヨウコさんは席を立つ。




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