第44話 バックステージエピローグ

 王宮の中にある信者しか入ることができない神殿に二つの影が一つはトロイ王国の第一王女であり、予言の神アポロンの神殿の巫女でもあるカッサンドラ。そしてもう一つは…


「魔族と神の血を引く者をやすやすと見逃してよろしかったのですかアポロン様」


 巫女の言葉にもう一つの影は優しく、しかし何処が威厳がある雰囲気で言葉を返す。


「カッサンドラ姉さん。たとえ二人っきりだとしてもその名前で呼ぶのはやめてください。もし他に聞いている者がいたら騒ぎになりかねませんからね。まあ、こんな事を信じる者はいないでしょうけど」


「失礼しました。パリス、良いのですか?あのアキレウスという男を逃してしまって。召喚術は脅威になるのでは?」



「殺しておきたいのはやまやまだけど、叔父上の目が厳しくて中々、上手いこと殺れないのさ。

 しかも今ではこのトロイ王国の英雄だ。こうなってしまっては王子である今の立場でも下手に手出しはできないからね。もうみずから危険地帯にでも行って勝手に死んでもらうのが一番の安牌あんぱいなのさ」


「それは希望的観測が過ぎるのでは?」


「そうなんだけどね~。今は打つ手がないって感じ。

 アガメムノンとの戦いの終わりにどさくさに紛れて何度か殺そうともしたけれどソロモンが邪魔で狙えなかったのが痛手だな~。あいつ僕が思っていた以上に頭の回転がいいな。

 まあ、無理に事を進めても失敗するだけだ。奴らが何を知っても逆に僕達に手出しはできない。

 今はこの国を完全に掌握しょうあくすることが最優先だ。これからも協力を頼むよカッサンドラ姉さん」


 その言葉に巫女は怯えながら返事を返す。


「はい…」



「ハハハハ、そんなに緊張しないで。姉さんには感謝しているんだ。君の働きのお掛けで僕はパリス王子と何の問題なく入れ替われたんだからね」


「光栄です。全てはアポロン神のお導きのままに」


「あぁ、君こそが信者の鏡だよ。さてとここからがある意味本番だ。

 この国をどう僕達の物にするか。邪魔者をどう排除するか。新たなお告げを考えよう」


 新たな波乱の幕開けは近いのかもしれない。全ては神のみぞ知る。

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サモナーミリタリー しき @7TUYA

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