最終話 有栖院さん、僕と恋人になってくれませんか?

「僕は有栖院さんのことが大好きです!」

「えぇ!?」

 有栖院さんは驚いたように声を上げる。

「…そんなに驚くこと?」

「それは、そうだよ…」

「てっきり有栖院さんは告白慣れてるのかと思ってたよ」

「た、確かに慣れてるけど…これは、例外なの…」

 有栖院さんの顔が若干赤くなっているような気がする。これは照れているのかな?

「有栖院さん、僕と恋人になってくれませんか?」

「っ!」

 僕は有栖院さんの目を見てはっきりと言う。

 逃げるな。ここで逃げても後悔するだけだ。フラれるのが怖くないって言ったらうそになる。でももう二度と後悔だけはしたくないから。









「わ、私、弱虫だよ…」

「あぁ」

「…すぐ逃げちゃうよ」

「知ってる」

「お、重いかもしれないよ…」

「それでもだよ」

「…ほんとにほんとにいいの?」

「本当にいいよ」

「…絶対絶対愛想つかさない?」

「つかさない」

「…後悔しない?」

「しないよ」

「やっぱり――――」

「いやしつこいな!?」

 思ったより長くて突っ込んでしまう。

「じゃ、じゃあ最後に一つだけ聞いていい?」

「最後ね」

 有栖院さんは俯く。そのせいで表情が見えない。

「本当に…私でいいの?…」

「それは違うよ」

「え?…」

「有栖院さんいいんじゃない。僕は有栖院さんいいんだ」

「っ!」

 有栖院さんが息を呑むのがわかる。キザすぎたかな?こういうのってイケメンに限る、とか言われそう。俺が言っても大丈夫だったかな?

 僕は冷や汗をかく。え?マジで大丈夫?有栖院さん無言なんだけど…もしかして引かれた?キモいとか言われたら死ぬ自信がある。

 有栖院さんはゆっくりと顔を上げる。その目はうるんでいるようにも見える。その姿は少し色っぽくて生唾を呑む。目は自然とくちびるに吸い寄せられる。

「あのね…」

「っ!ど、どうした?」

 突然話しかけられてびっくりする。

「わ、私も………」

「うん?」

「私も!陽翔くんが好き!」

「………………え?」

「好き!大好き!誰よりも好き!」

「えぇ!?」

 唐突な告白に混乱してしまう。

 有栖院さんが僕のこと好きなの!?

「…それって本当?」

「うん。春からずっとね」

「そんな前から!?」

「がんばってアプローチしてたのに全然気づいてくれなかったけどね」

「えっ!?いつそんな――――」

 …………あれ?そういえばそんな気がしてきたぞ。家に一人だけ呼ばれてたし、弁当も作ってもらったし…僕って鈍感だったりするのか?

「……心当たりあるって顔してるね」

「……うん」

 有栖院さんは呆れたように笑う。

「でも、そこも好きだよ」

「っ」

 有栖院さんの照れたような顔に思わず顔を背ける。

「ふふふ」

「……なんだよ」

 有栖院さんは僕から一歩離れると僕に向き合う。そして嬉しそうに口を開いた。

「こんな私でよければ、ずっと陽翔くんのそばにいさせてください」

「こ、こちらこそ…」

 有栖院さんは目を閉じて顔をゆっくりと僕に近づける。何をしようとしているのか、わかる。僕も目を閉じて僕からも顔を近づける。

 そして交わる、僕と有栖院さんのくちびる。

 それはとても気持ちよくて電流が体に駆け回るような感覚がした。時間は一秒くらいだったけど体感ではもっと長い時間のように感じた。

 くちびるを離すと有栖院さんの顔が見える。有栖院さんは恥ずかしそうな、嬉しそうな顔をしていて赤くなっていた。

「しちゃったね、キス…」

「うん…」

「これからは恋人同士だね」

「うん」

「もう絶対に離さないから」

「うん」

 そうして僕と有栖院さんはお互いを離さないように抱きしめ合った。













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無事に完結されることができました。楽しく読めていただけたら嬉しいです。もしいいなと思ったら★をつけてくれたりレビューをくれたら喜びます。最後まで読んで頂きありがとうございました。

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孤独くんと天才姫 バニショコ @Vanilla4649

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