最終話 世界征服目指します


「命だけは助けてゲコーー!」


 蛙王ゲロゲーは土下座して泣いていた。

 竜族の者たちは彼の死刑を推奨する。

 それが当たり前とでもいうように。


 でも、俺は違うんだな。


「死刑は無しだ」


「うぉおお! お優しいゲコーー!」


「家も与えてやる」


「あ、それは大丈夫ゲコ。俺様には蛙城があるゲコ」


「バーーカ。おまえを国王に戻すわけないだろ。人族を奴隷にしてこき使ってたんだからさ」


「そんなぁ〜〜」


「小さい家と田んぼを与えてやるから、みんなの為に作物を作るんだ。普通の国民になって真っ当に働けよ」


「ゲコォ〜〜」


 ファーナが小首を傾げる。


「では、蛙の国は誰が治めるのでしょうか?」


「うん。あの女の子にやってもらおうと思う」


 それは平和を声高に叫んでいた蛙人の少女だった。


「お、おらが国王になるんだケロか? そったらこと自信ねぇケロよ」


「でも。奴隷を使わない平和な国にしたいんだろ?」


「それは、したいけんどもぉ」


「じゃあ頼むよ」


「竜王さまが蛙王国の支配者になるんだケロ? 蛙人族は竜族の奴隷になるんだケロ?」


「いや。奴隷じゃないよ。あくまでも傘下だ。上下関係はあるが協力関係に近いな」


「んなら、竜王さまが平和な国にしてくれるんだケロ?」


「ああ。それが目標さ。その為には誰かが蛙王国をまとめてくれなくちゃな」


「あは! だったら、おら頑張ってみるだ! おら蛙の女王になるケロよ!」


 竜族からは不満の声が上がる。


「竜王さま。どうして蛙人族を奴隷にしないのですか?」


「そっちのが平和じゃねぇか」


「し、しかし。強い者が弱者を支配するのは当然のことです」


「そうかもな。じゃあさ。俺が世界を征服してさ。みんなが平和に暮らせる世界にしてもいいんじゃねぇか?」


「おおおーー……」


 竜たちは顔を見合わせる。そんな考えもあるのか、といった感じだ。


譚斗たんとさまは規格外の王なのです。きっと我々竜族を素晴らしい世界へと導いてくれるでしょう! みなの者、命をかけて従いましょう!」


「「「 おお!! 竜王さま万歳!!  譚斗たんとさま万歳!! 」」」


 竜たちは大喜び。


 蛙人族を従えることは、同時に彼らが奴隷にしていた人族も傘下になるのだ。

 人族の王に転移の書について聞いてみたが知らなかった。


 一見すると得がないように思えるがそうでもない。


 三国の親交を深めるパーティーが始まった。


 俺は人族が作った飯を食べる。


「うん。思ったとおりだ。味が抜群に良い!」

 

 やっぱり、人の食事は人が作るに限る。

 食事問題はこれで解決だな。


 よし。転移の書を探すついでに、世界征服してやんぞ!

 んで、争いのない平和な世界にするんだ。

 俺ならできる。世界一最強の、竜の力を持ってんだからな!


おしまい。

 

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俺、ドラゴンキングで異世界最強〜竜の力で異世界征服。俺が世界の王になる!〜 神伊 咲児 @hukudahappy

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