最終話 二人だけの…
変態をやり過ごすには完全に拒否すること。
相手に迷惑だと告げること。
ただし人格まで否定してはならない。
「私にとっては迷惑」だと言うことを相手に感じ取ってもらわないといけない。
または相手にしないこと。
私の場合は罵倒をやめればいいだけの話だった。
簡単なことにも思えるが男子嫌いの私には少しだけ難しい話だった。
しかしながら彼方のためにも自分のためにもそれをやり遂げる必要があった。
それなので自分のやるべきことに集中するのであった。
霙は随分頑張っていた。
罵倒をやめて僕以外の男子とは関わらないようにしていた。
無視をするとかそういうことではなく受け流す術を覚えたようだった。
適当に受け流して相手にしないことに重きをおいているようだった。
僕も自分を変えなければならない。
霙のために彼女を不安にさせない恋人を目指さないとならなかった。
変態ホイホイな僕らは自らの性格を治しつつ二人の世界に没頭していくのであった。
高校二年生の一学期が終了すると僕らには夏休みがやってきていた。
夏休みが数日経過すると唐突にその日はやってくる。
霙が僕の家に遊びに来るという一大イベントが起こる。
「お邪魔します」
恋人が家に遊びに来るなんてことは人生で初めてのことだった。
異常に照れくさくて恥ずかしく無駄に心が躍る瞬間だった。
「どうぞ」
霙を部屋に招くと涼しい部屋で適当に床に腰掛けるとゲームなどをして過ごす。
「飲み物持ってくるよ」
階下のキッチンに向かうと冷蔵庫の中からお茶のペットボトルを手にする。
部屋に戻ると霙は僕のベッドで無造作に横になっていた。
その姿を見て僕は息を呑む。
普段、僕が使用しているベッドに恋人が寝転んでいる。
その状況に脈が早くならないほど大人びてなどいない。
ペットボトルをテーブルの上に置くと僕はぎこちない足取りでベッドの縁に腰掛けた。
「寝転んだら?自分のベッドでしょ?」
霙の誘いに従うとそのままベッドに横たわる。
流れるように僕らはお互いの顔を見つめ合っていた。
霙が目を瞑り一つ頷くので了承のサインだと受け取ると僕らは二人だけの世界へと誘われていくのであった。
行為が終わると霙は美しく微笑む。
「嬉しい…やっと一つになれたね…彼方くんのために痩せたんだからこの身体の全ては彼方くんのものだよ♡これからもいっぱい愛してね?♡」
愛おしい恋人の一言に僕らは再び燃え上がるともう一度二人の世界へと没頭していくのであった。
過去の自分に感謝の念を抱くと自らの行為を誇りに思う。
そんな過去の自分のおかげで美しく自分を愛してくれる人と恋人になれた。
自分を愛すると同時に僕を愛してくれる霙のことも同じ様に愛し続けることを自らに誓うのであった。
完
誰にでも冷たい氷室さんだが…何故か今日も僕にだけデレる ALC @AliceCarp
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