ラムネと仮殿
ラムネ屋のおじさんが言う通り、確かにそれは奇抜な姿をしていた。
「斬新なデザインしてるでしょう。僕はかっこいいなと思うんですけどね。割と反対もあったみたいなんですよね。伝統にそぐわないって言う人もいてね。」
太宰府天満宮の改修工事に伴う仮殿。3年間という期間限定の姿だ。
いわゆる神社っぽい荘厳な佇まいの屋根はなく、代わりに草木が生い茂っている。
というかもはや侵食されているといった方が適切かもしれない。
それくらい自然と一体化していた。
いやいや太宰府天満宮さん、めちゃくちゃかっこいいな。
ビジュアル的なかっこよさはもちろん、その心意気がかっこいい。
今まで通りの姿であり続けることが、伝統を守ることじゃない。
その時代や人に合わせて姿や伝え方を変えることで、太宰府天満宮という変わらない存在が受け入れられ続けるようにする。それが伝統を守ることなんじゃないか。
斬新な姿の仮殿は、そんな思いが込められているようだった。
僕自身、何かを変えたり、新しいことを始めたりすることは得意じゃない。
だから少なくとも、変わろうとする物や変わろうとする人を全力で肯定できる人でいよう。
そう思って、変わらない味のラムネを飲んだ。
弾けるソーダが飲みたくなった 寝転ぶヤドカリ @yadokari23
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