幻覚

「嗚呼......」

 自然とため息が漏れてしまった。

 あの後、僕は日が暮れるまで森にこもっていた。

 自然が生み出すメロディーは、幸せを呼んでくる。

 自然とずっとそこにいたくなっていた。

 だが、夜道は危ないので、オレンジ色に染まった空を見上げながら、僕は帰路についた。

「ただいま」

 誰もいないのにこの言葉が出るというのは、他者を求めるという人間の性なのだろうか。

 僕はパソコンに向かい、取り憑かれたかのように予言を書いていた。


────君たち。よくぞ、きてくれた。

 謎の言葉が聞こえる。

 だけど、謎の言葉に僕は反応できない。

 奇妙に思いながらも、僕は思うがままに長い道を歩いていた。

 そして光が見えた。

 その先には大勢の人が旗を持ち、誰かに向かって大声で叫んでいる光景が広がっていた。

 謎めいたその空気感に僕は奇妙さを感じた。そして、もっと奥にいる人は話す。

「ここにいる人々は選ばれしものだ。自分を認めるが良い。ただ一つ恐れてはならぬ。今は20〇〇年12月4日だ。今日までの日々を──」

 すると、話を遮るかのように、大きな揺れが僕たちを襲った。

 人々は混乱していた。

 その直後、大きな津波が押し寄せた。

 彼らは流れていった。

「なんだこれ......」

 僕は唖然とした────


 気づいたら僕は自室のパソコンの前にいた。

 どうやら寝ていたらしい。

 夢なのかと安堵すると共に、何か奇妙な気持ちが芽生えた。

 僕はすかさず、ペンでシナリオに何かを付け加えた。

 一つの夢は僕たちを変えるのかもしれない。


 予言をどんどん上げていって、フォロワーも着々と増えていった。

 しかし、この数では足りない。もっと必要である。

 僕のシナリオでは、この人数では到底行えない。もっと人数が欲しい。

 そのため僕は少し大きなことを投稿することにした。

『今から7日後に、〇〇銀行(誰もが知る銀行)が経営破綻する』


 この予言は、実際に起き、アジアでは経済危機に陥ってしまった。

 そんな中、僕の予言は世界中でバズった。

 自分の知らないところでテレビにも取り上げられていたらしい。

 もう後には戻れない。僕はそんな覚悟をした。

 どんな、情報にも屈しないものが僕の中にはある。

 ノストラダムスの大予言はご存じだろうか──

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予言者A TEAR-KUN @tear-kun

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