第5話 旅立ちと結末

カマネからアマゾンへ旅立つことを知らされたのがずいぶん昔のことのように感じる。


俺は結局、アマゾンへと向かった。

そうして現地の人々に“おでん”を広め、その人気を定着させることが俺の任務だった。


元々おでんのない土地での1からの挑戦は、

はじめこそ問題だらけで、全くうまくいかなかったものの、だんだんと現地の人とも打ち解け、この地でしかとれない豊富で多彩な野菜や植物を使っておでんを作ることに楽しみを見出すようになっていった。


そもそもあの日、突然俺の元を訪ねてきたODNとは、Oden Drop Nationの略で、通称は“オデン”。そこの代表は俺に劣らぬほどの大のおでん好きで、そのおでんの魅力を世界各地に広めるために巨額の富をもって、活動していたのだ。


そして、その時うちを訪れたカマネは今では軍の統括総隊長補佐にまで出世している。

今頃はどうしているかな、この前会った時は俺とほぼ変わらぬ背丈になっていてとても驚いた。


あれももう、15年前の話か。


今ではおでんはアマゾンの人々にとってはソウルフード的存在で、地域によって様々なアレンジが加えられ、その数は200にも及ぶらしい。


一方俺は、ここアマゾンの民族に

“ダヌハ・オデンツォ”と呼ばれている。


どう言う意味かって?

現地の言葉で

“おでんマスター”だったかな。






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ジャングルの奥地で熱々のおでんが食いたい 昼堂乱智 @janky_tempei

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