第47話 ネックレス
「それね、コニーが寝てる間に付け替えたんだ。勝手にごめんね?
僕らの予想では今頃は2個虹色になってるはずなんだけど……」
「コニーこっちに背を向けてくれ。外してもいいか?」
「うん、お願いします」
髪の毛はゆるっとお団子にゴムで縛ってあるから、うなじが出てるのでやり易いと思う。
こ、こちょばゆい……。
くそ、どーなってんだ、とか小声で呟かれると、首元に息が掛かって地味に追い打ちをかけて、くすぐったさ倍増。
だ、ダメだ、耐えきれん!
「んあっ、ん、ねぇ、早くぅ」
「っ! 悪りぃ。クレール代われ!」
「う、うん!」
クレールがあっという間に外してくれた。
ふぃ~。
アルコールが入ってるせいか、くすぐったさが我慢出来ないというか。
急にトイレも行きたくなってきた。
「もう、めっちゃくすぐったかった~。ちょっとトイレ行ってくるね」
2人ともなんか顔が赤い。
酔った? あ、私のトイレ発言?
おしっこって今回は言ってないんだから、そんぐらいは慣れて欲しいな~。
トイレの鏡で見たら、私の方こそ赤い顔だった。
ちょっと目もうるうるしてるし。
そんなすぐに酔っ払ってどうこうなったりしないんだけど、1杯飲んだだけで顔が真っ赤になっちゃうから、電車で飲みに行くのは恥ずかしかったんだよね。
写真を撮るのも嫌だったな~。
恥ずかしいと言えば
「このパンに挟んである桃花鳥色のクリームチーズ、コニーのほっぺみたいでかわいい」
パクリとして、はみ出したのをペロリと舐めながら、クレールがこっちをチラ見してきたやつ。
おぅ! ニイサン色気が垂れ流されてまっせ!
心の中で盛大にツッコんだことを回想する。
鏡に映るアルコールで赤くなった自分の頬を見ながら、フラミンゴみたいな色かしら? と、まだ見ぬ桃花鳥という鳥の色を想像しつつ手を洗った。
トイレから戻ったら、ネックレスを弄りながら話をしていた2人の顔は、もう赤くなかった。
「この金具の付け根の所をこうするとね、ほら、こんなふうに開くから、中身をここから出し入れするんだよ」
そうして話が始まった。
2人は食べながら飲みながらだが、内容が余りにも聞き慣れぬ「魔素」だの「魔石」だのについてなので、私は早々に冷えたレモン水を飲んで、少しでも頭をシャッキリさせる。
クレールの丁寧な説明と、エタンのぶった斬り要約によると……
まず石を首から吊るすためのネットみたいな透明な紐。
中に入れた石の重さを感じさせなくする優れもの。
変色で身体に蓄積した魔素の汚染度を表すんだって。
私のは無色透明、つまり蓄積ゼロ。
クレールのは淡いミントグリーン、つまそこまでは溜まってない。
エタンのはクレールより少し蓄積度高めでプラチナブロンド。
色味はその人の魔力を表していて、大抵は瞳の色と同じそうだ。
どんどん色が濃くなって、汚染度マックスの状態は透明性が全く無くなり、キランキランで眩しいそうな。
エタンの場合まんま金の鎖みたいなんだって。
ヤンキーとかヤクザっぽい、ウケる。
身体へ魔素が大なり小なり蓄積するのは誰しも同じだが、晒されている環境の魔素の多さにもよるとのこと。
うーん、ここまで聞くと放射能の被曝みたいだと思った。
そして、どんだけ魔素の蓄積を受け入れられるかは、個々の能力によりけりだって。
エタンたちみたいに身体のどっかが煌めいた魔素体質人間は、圧倒的に蓄積オッケーな器がでかいそうな。
この辺は、まるで花粉症の仕組みみたいだ。
次に水晶みたいなものが魔石。
空っぽだと透明で、それを身につけとくと身体に溜まった魔素を吸い取ってくれるんだって。
その色味はやっぱりその人の魔力、つまり瞳の色。
でも比較的茶色っぽい、まあ一応黒目といえる私の場合は。
当然黒。
……ではなく。
なんとレインボーカラー!
これには彼らも途轍もなく驚いていたとのこと。
ちなみに蛍様の魔力も黒目なのに違う色だそうで、話が逸れるからまたいつかと言われた。
それと、身に付けた魔石の吸収による染色速度。
その人のいる居場所にもよるけど、魔素の特別濃い光の湖畔にしても、私はあり得ない速さだそうだ。
1日で3個、つまり8時間で1個計算。
チャージカンスト状態は紐の説明と同じで、透明度ゼロの濃い色キラキラ石。
私の2個の虹色魔石にて、それは確認できた。
クレールは魔石を身につけていない、紐だけ。
エタンは一応つけているけど、ほぼ吸収されないタイプなんだって。
じゃあ2人とも溜まった魔素はどうなっちゃうの?!
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ねえ? どうなっちゃうんでしょうね?(*´꒳`*)
わくわく次回待っててくださると、嬉しい限りです。
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https://kakuyomu.jp/works/16817330657176740967
【次回予告 第48話 魔石を生む】
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