【個人を褒めるより社会を褒めよ】無条件に嬉しい他人の褒め方

エテルナ(旧おむすびころりん丸)

【個人を褒めるより社会を褒めよ】無条件に嬉しい他人の褒め方

前回、外国人が羨む日本の特徴についてお話しました。

そちらの記事の冒頭で、筆者はこのようなことを述べました。


【やはり自国のことを褒められると嬉しい気持ちがしますよね】


誰しもが自然と湧く気持ちですが、この気持ちは一体なんなんでしょう?

筆者は日本を代表する人間でもないですし、日本料理を褒められても、筆者自身が日本料理のプロな訳ではないし、歴史的建造物やアニメなども作ってはおりません。(ちょっと漫画は描けますけど)

ただの消費者であり、同じ楽しむ側であり、もっと言えばその事柄をほとんど知らなくても、やはり日本のモノを褒められると嬉しい気持ちが湧いてきます。


WBCの際も、そして現状の活躍を見てもそうですが、大谷翔平選手が活躍されるのは誇らしく感じます。

とはいえ筆者が何か大谷選手に貢献した訳でもないですし、見方によっては自惚れのようにも思えます。


しかしこれはごく自然な心理効果であり、集団や社会的カテゴリからとらえた自己認識である、社会的アイデンティティに由来します。

筆者の社会的アイデンティティは下記です。


・男性

・日本国籍

・東京住み

・社会人


あまり詳細は書けないのですが、性別・国籍・人種・宗教・出身地・会社・世代などが社会的アイデンティティのカテゴリに属します。

そして筆者の日本国籍及び人種というアイデンティティが、本来筆者とはなんら関わりのない人たちの活躍さえ、自分事のように喜ばしいことと思わせてくれるのです。


より詳細な範囲となると、〇〇高校出身だとか、〇〇会社所属というカテゴリに分けられます。

もはや世代がまったく違うのに、高校野球や駅伝に熱中してしまうのも、出身校という社会的アイデンティティが影響しているにほかなりません。


これは一見すると、応援するアイドルや好きな漫画を褒められると嬉しい、等々の趣味や嗜好と一緒のようにも思えます。

しかし、個人個人の性格や来歴は個人的アイデンティティに属し、社会的アイデンティティから来る喜びとはまた少し違います。


例えばあなたは小説に一切興味が無かったとします。〇〇という小説家が賞を取ったとしても、さほど関心は示さないでしょう。

しかし〇〇という小説家が海外で絶賛され、日本文学は素晴らしいと言われれば、喜ばしいことだと感じます。

あなたは〇〇というチームのファンで、△△というチームは宿命のライバルです。憎き△△チームですが、しかし世界大会で代表に選ばれた△△チームの選手が活躍すれば、それはそれで喜ばしいことです。

あなたが嫌いな納豆を、外国人が美味しい美味しいと喜んで食べれば微笑ましいと感じます。


あなたが興味がない、若しくは嫌いな各種カテゴリさえも、社会的アイデンティティという大カテゴリで認められる形となれば、嬉しい感情が湧くのは興味深いです。


しかし同時に、社会的アイデンティティは諍いをも生みだします。

あなたが興味ない、嫌いな事柄さえも、社会的アイデンティティに属しているならば、貶されると不快な気持ちになるのです。


これを踏まえておくと、対人でのコミュニケーションを円滑に進めることができるように感じます。

はじめて出会った人の場合、この人はどういう人だろうと、個人的アイデンティティを掘り下げようと努力しますが、もっとばっくりと社会的アイデンティティを褒めれば、その人の嗜好を無視して好感を与え易くできます。


その為には多少の勉強は必要となりますが、しかし過剰な勉強は不必要という点も取り入れやすいです。

なぜなら社会的アイデンティティを認められる喜びは、別カテゴリの人間が発信した場合に発生しやすいからです。

少し前時代的ではありますが、例えば男性から女性への敬意、女性から男性への敬意が挙げられます。

他にも年上世代への興味、年下世代への興味。別の国、別の地域への関心などが挙げられるでしょう。


これらをまったく何の予備知識もなしで、ただ何となく尊敬していると言うだけでは駄目ですが、しかし多少なり知識があって敬意を示せれば、後の詳細は相手が得意げに話してくれますから、あとは相槌をうっているだけで勝手に好感が増していきます。


この社会的アイデンティティを褒める、もう一つの利点について。個人的アイデンティティへの興味は、やろうと思えばいつでもやれる事柄です。

つまり、「興味あるんです」と言ったところで、興味があるのに詳しくないのなら、口を合わせているだけという印象を与えます。

しかし社会的カテゴリは、変えたくても早々には変えられない事柄です。憧れを抱いていても知識が不足していることに、違和感が発生しにくいのです。


これができれば、当たり障りのない会話よりワンランク上のコミュニケーションが狙えるかもしれません。

コミュ障の筆者もこれで人間関係をしのいでいるので、コミュニケーションが苦手な方は是非おためしあれ。

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