花粉症

「はっくしょん!」

 思わず大きなくしゃみが出てしまう。エルは怪訝そうに話した。

「なんかまるでおっさんみたいなくしゃみするんですね、ユリは。」

「なんか癖でね。出すならちゃんと出したいじゃない?はっくしょん!!」

「そーですか。」

 季節は春になり、花粉症が辛い季節になっていた。私もそろそろ薬飲まないとな……と考えていると、エルの様子がおかしくなってきた。

「へ、へ、へ……。」

 なんか凄く酸っぱそうな顔をして鼻をヒクヒクとさせていた。もしかして、くしゃみするつもり?エルも花粉症なのかしら。お互い大変ね……。ていうか、

「んっ、くはっ……。ふう、乗り切りました。」

 なんで堪えきってるの?この娘?軍隊が何かでくしゃみの訓練でも受けた?普通に出せばよくない?

「エルも花粉症?はっくしょん!」

「いや、くしゃみしてる人を見るとしたくなっちゃうんです。」

 いやそっちかい!私のせいかい!

 にしても、私ばっかりくしゃみしてるのもあれだし、ここはやっぱりエルにも……。

「そういう人もいるよね、はっくしょん!よくわかるよ、はっくしょん!」

 ここは私がたくさんくしゃみして誘うしかない!

「なんかくしゃみの頻度上がってません?」

「そうかな?はっくしょん!今日花粉多いのかもね、はっしょん!エルは花粉大丈夫?はっくしょん!はっくしょん!」

「は、はい……。」

 なんかちょっとひかれている。それはそうだ。こんなおっさんみたいなくしゃみを連発してる女と隣にいたいわけがない。でもエルもじわじわと鼻がムズムズしてきてるっぽい。

「んっ、んっ、んっ……。」

 我慢できないように畳み掛けなきゃ!

「そういえば、はっくしょん!エルさ、はっくしょん!ティッシュ、はっくしょん!持ってる?はっくしょん!ちょっと、はっくしょん!使いたくて、はっくしょん!」

「へあっ?えっ、えっと……んぁっー」

 ついにその時は訪れた。いつも真面目で後輩なのに大人ぶるエルの可愛いくしゃみがついに……。私はこのためだけに生きてきたのかもしれない……。


「ぶぅえぇぇぇくしょん!!!!!!!」


 …………。

「すみません、出てしまいました。」


 …………。

「か、かわいいっ!!?」

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最終的に好きと言わせる 死神王 @shinigamiou

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