最終話 約束

 グレイは最後の3日間、俺の屋敷で過ごす。

過ごすと言っても、何をする訳もなく一緒にいるだけである。

ただ、グレイはウィルダさんが作ったトイレを見て


「2か月ぐらいでこのような物をつくるとはすごいですね」


と感心してたが、ただこのトイレの難点としては熱がトイレ内にも入ってくる事。

藁を敷いて多少は断熱をしてるて、時期的に気温が低いので今はいいが

夏になれば涼しい王都もそれなりに熱くなるので、それが問題。

あと、この屋敷も俺が去ったら使われなくなるのそうだけど、ウィルダさんが

トレイの実験のために住めないか交渉したが、ウィルダさんが王国の屋敷に住むは

無理だったが、グレイが一緒に住むと言う事で俺が帰った後も使えるそうだ。


「グレイ、俺が居なくなってもここに住むんだな」


俺の部屋でソファーに座って俺と話す。


「そうです。せっかくウィルダさんがたちがこんな立派なトイレを作ったので

使われないのは勿体ないです。それに、魔王領でトイレの良さを知ったので

今まで見たくおまるでするのなんて、魔王領より遅れた事はできません。

あと、魔王領の技術でトイレを作るにはまだ平和交渉が終わらないのでできません。

ただ、許可を貰ったら職人がこちらにして指導を始めています」


グレイはそう言うけど、グレイもすっかりトイレの良さがわかったそうだ。

ルイーサにトイレの普及を頼んだが、平和交渉が終わらないのでまだ無理だそうだ。

ただ、許可を貰った職人が便器の作り方やトイレットペーパーの作り方を指導してるそうだ。

あと、今までの話し方をやめて、本来の話し方をしている。


「グレイはこの話し方でいいぞ」


俺がそう言うと、グレイは


「い、いきないなんですか。ここにきて口説くのですか?」


と言って来たが、口説いてるわけではなない。


「違うぞ。最後に本当の姿を見せてくれたことがうれしい。

ただ、変なキャラ作りをする必要はなかったと思うぞ」

「そうですか、ありがとうござます。でも、あのキャラじゃなかったら

偉そうな嫌なお子様としか思わなかったのではないのですか」


グレイがそう言うが、それはそれでありかもしれない。


「うん、それも悪くはないかな。年下の女の子に責めれるのも悪くはない」

「博司様ってド変態ですね。流石にそれは引きます……」


グレイは引くけど、確かにこの言い方では確かに変態だ。


「言い方が悪かった、俺を注意してくれるって意味だ」

「そうですか。でも、博司様は妹がお好きな感じはします」

「残念、俺は妹がいるから、妹への幻想はない」

「むむ、そうですか」


グレイが残念がるが、リアルに妹がいるから幻想を持ってないのは本当だ。

ただ、二次元の妹キャラはリアル妹からの逃避のためではあるけど。

幻想は持ってないけど、二次元には夢を見させてくれ。


「こうして博司様とお話できるのもあと少しですね……」


グレイが急に寂しそうな表情をする。


「ああ、明日には元の世界に帰る」

「つまり、こうして居れるのも今日だけですね」

「そうだな……」

「王室主催のお別れの晩餐会を開く予定でしたが、断ったのですね」

「俺みたなのが晩餐会に参加なんて無理だし、堅苦しく飯を食べるのも嫌だしな」

「そうですか、博司様らしいです」

「果歩もマチルダさんも断ってたけど、きっと俺と同じく従者と一緒に居たかったんだろ」

「きっとそうですね……」


グレイはそういうと、俺の肩にもたれて来たがその後は何も言わずただただそうしていた。


 そしてついに元の世界に戻る日が来た。

元の世界に戻る儀式はグレイたち従者も立ち会えない。

なので、屋敷を出る前に最後の挨拶をするためウィルダさんや宿町の人たち

そして、各街からわざわざ俺を会った人達が王都まで来てくれた。


「遠い所ありがとう」

「いえ、構いませんよ。窯に火が入りましたから、便器の試作はじまりました。

魔王領の職人も同じ職人なので、話が合いますし既に意気投合してます」

「紙の作り方は魔力を使っているそうなので、簡単にできないが薬品で代用できるか研究します」


紙づくりは詳しい事はわからないけど、この世界にまだない薬品を作ってたけど

かなり化学的なので、この世界で薬品が出来るかわからないけど研究は応援する。


「博司様、短い間でしたがこの世界を救て頂いてありがとうございます」

「博司様のメイドとして働いた事は、皆に自慢でます。では、お元気で」

「ヒューゴさん、アンジェさんもお元気で」


俺の身の回りの世話をしてくれた執事のヒューゴさんとメイドのアンジェさんに

別れの挨拶をしたが、2人はグレイが済んだ後もここで執事とメイドとして働くそうだ。


俺とグレイは城から迎えに来た馬車に乗るが、グレイは従者として

儀式が始まるギリギリまで一緒に居る事が出来る。


城へ着くと儀式が始まるまで時間があるので案内された部屋で待機する。


「従者の皆もお話できるのはここまですから、悔いのないようにしてください」


案内してくれた女性はこう言って部屋を出て行った。


「みなさんとはもうすぐお別れなんですね」

「数か月の間でしたが、良い思い出になりました。

ただ、わたしはあまり役に立てなかった気がします」


ルアナさんはあまり活躍できなかった事を悔やんではいるけどマチルダさんは


「そうでもないわよ。ルアナが前衛にいたから安心できたわよ」


と言ってルアナさんを抱きしめた。


「マ、マチルダ様、これはちょっと恥ずかしいです」

「これでお別れなんだから、黙って抱かれなさい」

「……そうですね」


ルアナさんはマチルダさんに抱かれるけど、言葉だけ聞くと......性的な意味に聞こえる。

いや、これは単に俺が良からぬことを考えてだけか。


「うーん、うらやましいです。果歩様、わたくしも抱きしめてください」

「はずかしいから......嫌です......」

「うーん、果歩様は相変わらずいけずですわね。でも、これがいいのです。

でも、最後にベッドを共にしたかったですね。もちろん、性的な意味で」


俺が良からぬ事を考えて反省してたら、横でもっと良からぬ事を

イゾルダさんが行っていたが、最後までぶれない人だ。


「博司様、変態女はほっときましょう」

「そ、そうだな」

「でも、わたしも博司様とベッドを一緒にしたかったのです」


最後だからってグレイもなんか言ってるけど、単に同衾するだけで

変な意味はないと思うから、俺の心が穢れているだけか。


「14歳になって一緒に寝るのはどうかな」

「14歳は早いと結婚する年齢です。ベッドを一緒にするのは大人の意味です」


ちょっとまて、グレイもそんな事を考えてたのか?

いや、冗談だよな。

日本でもかつては14歳で結婚した事はあったけど、現在の倫理観では行けない事だ。


「グレイ、冗談はよせ」

「冗談ではありません」

「だとしても、俺たちの世界ではいけない事だから無理だぞ」

「ここは博司様の世界とは違います」


グレイが真剣な目をするけど、無理な者は無理だ。


「グレイ、最後の最後はこれは良くないぞ」

「博司様はやっぱり、真面目な方ですからね。もちろん冗談です

この世界でもわたしの年でそのようなことはしません。ただ、早いと結婚するのは本当です」


14歳で結婚するのは本当だったけど、それ以外は冗談だった。


「でも、別れる前には思い出は残したいです。博司様、こちらを向いてくください」

「わかったよ」


俺はグレイに言われたとおり、グレイの方を向くとグレイの顔が近づいたと思ったら

そのままお互いの唇が触れ合った。


「あらあら、グレイは大胆ね。果歩様、わたくしたちも最後の思い出に口づけをしましょう」

「恥ずかしいから......それも嫌です......」

「この空気なら、出来ると思いましたが無理でしたか。でも、果歩様はこうでなくては」

「グレイさんはすごいです……」

「ルアナは奥手すぎよ」


俺とグレイのキスを見て色々言ってるが、一番戸惑っているのは俺であった。


「これでができまいした。博司様、元気でいてくださいね」

「ああ、グレイも元気でな」


思わず形でまたキスをしてしまったが、グレイにとってはかなり背伸びだったんだろう。

でも、本音としては女の子とキスするのは素直にうれしい。


「準備が出来ましたので、勇者の皆様はこちらへ」


準備が出来たので、俺たちは儀式が行われる場所へ向かう事になる。

グレイたちとはここでお別れだ。


「博司様、これが最後ですが博司様の世界に行ける方法を見つけて絶対会いに行きます、約束します」

「ああ、グレイならできるはずだ、待ってるぞ」

「マチルダ様、お元気で」

「ルアナもね。あと、かわいいんだからもっと女の子らしくしなさよ」

「は、はい」

「果歩様もお元気で」

「イゾルダさんは……羽目を外さないでくださいね。では、お元気で」


3人と別れの言葉をかわし、3人に見送られてて儀式の場所へと移動した


 元の世界に儀式は上級魔導士によって行われる。

俺たちは魔法陣の中に立ち、呪文が唱えれると俺たちを光を包み込む。

そして、ふわっとした感覚がしたと同時に意識を無くした......。


 ―—次に目を覚めすと、俺は自分の部屋のベッドの仲だった。

ベッドの傍らにあるスマホをみて、時計と日付をみると異世界に召喚される日だった。

俺はこの日の朝、目覚めると突然、光に包まれて気づいたら異世界に居たのであった。


「帰って来たんだな……」


俺がそうつぶやくとが、何事もなかったように制服に着替えて何時ものように学校へ向かった。


 学校へ向かうが、あっちの世界では数か月経っていたが身体の変化は特にない。

どうやら、あっちの世界に居た時の時の流れはリセットされたみたいだ。

それとも、数月程度では影響なかったのかはわからないけど。

もちろん、魔法もスキルも使えない。


俺は何時ものように通学路を歩いてると、後ろから


「あ、あの……博司さんですよね……」


と声をかけれたが、それは果歩であった。


「ああ、そうだよ果歩。その制服……同じ学校だったのか?」

「そうみたいです……」


果歩は同じ学校の制服を着ていたが、今まで1度も会った事がなかった。


「学年が違いますから……会う事がなかったのですが……こうして会えたのは何かの縁ですね」

「そうだな。でも、マチルダ様は流石にアメリカ人だから、会うのは無理か」

「そうですね……」


俺と果歩はマチルダさんは会う事は出来ないから残念に思うが

住んでいる国が違うから仕方がない。


「あれ、博司と果歩じゃないの」


突然声をかけれらたが……この声も聞き覚えがあるけどまさか。


「マ、マチルダさん!?」

「な、なんで......日本にいるのですか?」


俺たちは驚いたが、果歩は驚いてもあまり表情も口調もかわらないけど。


「実は日本に旅行にきててね。その時にあっち呼ばれたのよ」

「そ、そうだとしても、普通に日本語話してますよね?」

「日本のアニメと漫画が好きで、勉強したのよ。そして、念願の日本に

来たんだけど、まさか自分が異世界へ行くとは思わなかったわ」


マチルダさんが笑うけど、そうだったのか。

でも、こんな時間に出会うとは思わなかったけど。


「でも、こんな時間に外国人旅行者がいるのも変ですよ?」

「よく漫画やアニメでみる日本の登校シーンを見たかったのよ。

地図で調べて、学校があるから来てみたら2人がいたのよ」

「そ、そうだったんですね」

「でも……会えてよかったです……」

「わたしもよ。それに、制服姿の果歩もカワイイわよ」

「あ、ありがとうございます……」


マチルダさんは果歩に抱きつくけど、皆に注目されて顔を真っ赤にしてる。


「マチルダさん、遅刻するので俺たちは行きます」

「そうね。連絡先を教えるから、学校が終わったら連絡して」

「わかりました」

「また……後で会いましょう……」

「それじゃ、勉強をがんばるのよ」

「はい」

「はい……」


俺たちが学校に向かうとしたら、空が光ったから何かと思ったら1通の封書が舞い降りて来た。

ただ、これが見えているのは俺たちだけの様で、他に誰も見上げたり足を止めていない。

その封書は俺の所に降って来たので、手でつかむと向こうの世界の文字が書かかかていた。


「これってまさか……」


俺たちは3人で顔を見合わせて、封を開けると中身は手紙だった。

文字もあっちの世界の文字で書かれたが、問題なく読める。

そして、手紙の中身は


『博司様、果歩様、マチルダ様、お元気ですか?グレイは元気です。

こちらはあれから3年経ちましたが、博司様が願ったとおりに王国をはじめ

他の国にもトイレが普及しはじめてます。魔族とも和平を結び、平和になりましたので

以前のように人類と魔族の交流が戻って、活気が戻ってきました。

これも博司様たちのお陰です。あれから政治的には色々ありましたが、政治的な事は

嫌いでなので話しませんが、ルイーサ様が魔王を続けている事はご報告します。

3年経ちましたが、イゾルダさん相変わらず変態で、ルアナさなんは女性初の騎士になりました。

わたしも大人になりましたが、この姿を見せらないのは残念です。

さて、博司様の世界に行く方法ですが、これに関しては流石のわたしでもなかなか難しいですが

なんとか小さな物だけを送れる魔法は出来ました。ただ、本当に送れるかは実験しないといけません。

なので、この手紙を送りましたので無事届く事を祈っています グレイ・アサンド』


であったが、グレイって苗字もあったんだ。


「グレイでも、流石にこっちに来るのはなかなか難しいか」

「でも……でも、手紙は届きました……」

「グレイちゃんの事だから、きっとその内こっちに来るわよ」

「そうですね」


俺たちはその手紙を読んで涙が出そうになったが、学校へ行くからぐっと我慢した。

きっとグレイの事だからこっちの世界に来て


「博司様、来ちゃいました」


とこんな風に後ろから声をかけるに違いない……ってこの声は!


「え、まさか……」


俺たちは声をした方を振り返ると……成長はしたがグレイ面影がある女性が立っていた。


「グ、グレイ!?」

「はいそうです、グレイです。来ちゃいました。博司様、会いたかったです!」


グレイはそう言って抱きついて来たけど、身長が伸びて顔も大人になったけど

胸に関しては、14歳の時からそれなりには大きくはなっているが、ギリギリBカップぐらいかな。

絶壁ではないものの、残念ながらルイーサの言ってた事がほぼ正しかった。


「み、みんなが見てるから、抱きつくはやめろよ」

「いいじゃないですか、今は大人になりましたから」

「だ、だからだよ」

「えー、キスをした仲ではないですか」

「た、確かにしたが……」


ただでさえグレイの服装が向こうの世界の物なので目立つのに、さらに注目される。


「だから恥ずかしがらないでくださいよ」

「そうは言ってもな」


流石に朝からイチャイチャしたら恥ずかいというか、注目の的になる。

でも、こうして再会できたのはうれしい。


「ところで、グレイちゃんは何時までこっちにいるの?」


マチルダさんが聞くが、グレイの答えは


「戻る方法はまだできてません。それに、戻れるかもわかりません」


だった。


「ちょ、それって」

「ま、いいじゃないですか。博司様の所にお世話になります」

「そ、そんな事言っても、いきなり女の子を連れて行く訳ににいかないだろ」

「そこは魔法で何とかします。それに……」

「それに?」

「わたしと博司様は口でキスしまたから、婚約が成立していますので」

「あ……」


口でキスをするのは婚約と言ってから……そういえば、約束と婚約をしたと言ってた気がする……。


「と言う訳なので、よろしくお願いします」


グレイは照れて赤くなるが、17歳だから結婚はまだできない。


「グレイ、この国では18歳にならないと結婚できないぞ」

「グレイはもう21歳なので、問題ないです」

「え、俺より年上なの!?」


いつの間にか俺より年上になってたが、手紙を書いたのが17歳だから

それからさらに研究を続けたら、年上になっててもおかしくはないか......。


「こっちへ来るための研究で博司様よりお姉さんになりましたが

博司様が結婚できる年齢になるまで1年ぐらいなので、一緒に暮らして待ちますよ」


グレイはそう言って俺にしがみついて来たが、グレイと再会できたことはとても嬉しい。

とても嬉しいが、それと同時に異世界から来たグレイトとの婚約を家族に説明するという

スキルや魔法で何とかなる魔王退治よりもっと厄介な事が、俺に降りかかってきたのであった。

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異世界に召喚された勇者は、トイレ作りと魔王退治をします しいず @shiizuu

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