第3話
「サイラぁぁぁぁぁぁっ!」
情けない声。だらしない声。みっともない声。
サイラのスピードは速すぎる。
日本なら交通違反レベルだ。
「遅すぎるぞ!しっかりしろ!」
いやいや、違うだろ。
王都はもうすぐなのか?
キラキラした噴水‼︎ 少し古びた感じの家‼︎ 賑やかな商店街‼︎
「これが…あの…王都⁉︎」
「ここがその王都だ。」
「まずは腹ごしらえだな! ボクは…ハンバーグが食べたいっ!」
早速レストランへと飛び込んでいくサイラを見る目の端にこっちを見ているような感触を覚えた。
黒い人影、それはさらに大きい影に飲み込まれていった。
「消えた…?」
「おーい!なにしてんだよ!早く早くっ」
サイラの呼ぶ声で黒い夢から目を覚ました僕もレストランに吸い込まれていった。
サイラがハンバーグにがっついている。そんなことはもうどうでもいい。たぶん。
さっきの人影はなんだったんだ?
人じゃないという可能性は0.1%ぐらいだろう。考えるだけじゃ始まらない。情報収集もしながら歩くしかないか。
「ごちそーさまでした‼︎」
店の中のほぼ全員の肩がピクっとした。
そういえば僕には家も金も物もないんだった。
「とりあえず割り勘にしよーぜ!」
ちょっと待て、僕には金がない。しかもコーヒーとチーズケーキしか頼んでいない。もちろんハンバーグの方が値段は高めだ。コイツはなにいってるんだ?
「…でもオマエには金がなかったな。スキルとかはあるのか?」
スキル…スキル?スキルってあのスキルか?
前から思ってたことがある。これは僕が今までプレイしてきた放置プレイ系ゲームのどれかだ。
すべてクリアしたとはいえど全てを覚えているというわけではない。
「自分を信用なんてできない」
転生したら謎の少女に振り回されて困ってます! 琥珀たん @manzokusan
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